工房しろくま
えーもんみーつけた
日常の小細工で、地方では材料探しもかなり重要な仕事です。1/8バギーなどもそうですが、だんだん模型屋さんだけでは材料の入手が難しくなってきます。最近はピアノ線を置いてない模型屋さんも。
そういうときに、こんなところに、こんなものが・・・・
樹脂の板・素材
模型店で田宮のプラ板を探してくるのが無難ですが、スチロール樹脂以外も欲しいもの。そこで日曜大工屋さんを探してみましょう。
- ナイロンのまな板
柔軟性を要求する場所に使えます。切削で粘りますが、がまんします。
用途>木ねじの台座、高加重の場所につかうシム(サスペンション調整等)、ロッドガイド
- アクリル板
アクリル板にも数種あり、塩ビ並の柔軟性をもったものもあります。これは塩ビ板の代用になります。
最近は、釘の打てるアクリルと称した、耐衝撃性のあるアクリル板もあります。これは切削作業にけっこう良好ですので、あまり強度や精度を必要としない樹脂パーツの製作に使えます。3ミリ厚くらいまであります。
- 引き抜き材・その他
アルミパイプや、サッシの材料を置いてある場所に、規格ものの樹脂のアングル等が置いてあります。曲げ加工を必要とする作業の場合は、最初からアングル材を使う方がいいかもしれません。同様にパイプなどもいろいろあります。棒材が必要な場合は、電気部品店のパーツ売場を探すと、絶縁材として入手できるものもあります。
パーツ売場には、他にも基盤の取り付け用として、内径3ミリのジュラコンのブッシュもいろいろな長さのものがあります。トランジスタの取り付け用のブッシュは、これも内径3ミリで応用範囲は広いです。(ジャンク屋などに袋詰めで忘れるほどあります)
- ノイズレスパイプ
内径2ミリのものは、IMのものが模型店で入手できますが、それより小さいものはありません。釣具店に行きますと、浮きの自作用素材のコーナーに長さは短いかもしれませんが、樹脂パイプが数種置いてあります。
アルミ(パイプ・引き抜き材)
主に、日曜大工センターや電気部品店のパーツ売場で入手できます。
- アルミパイプ
外径10ミリあたりまでなら、電気部品店で購入できます。肉厚はいろいろありますので、いくつか購入できる店を把握しておくといいと思われます。
10ミリを越える物、たとえば10クラスのカンマフラーに使う30ミリくらいのものですと、入手先は限られてきます。材料屋さんへ直接行けばいいのですが、そうそう何メートルもいるものではないので、民間用?としては難しくなります。
これは、郊外の日曜大工センターをこまめにまわると、置いてある場合があります。根気よく探してみましょう。
40ミリくらいまでの物がそろえば、30クラスまでのヘリコプターのマフラーに十分使えます。
- アルミ板・ブロック
10ミリまでの板材は日曜大工店や電気部品店で購入できます。5ミリくらいまでのものなら引き抜き材が日曜大工店等で購入可能です。引き抜き材は模型用に十分な強度があり、粘りが強すぎず加工が容易です。
東急ハンズなどではアルミのオブジェとして鋳物の円錐などが入手できます。鋳物ですので他の材料の様な強度は無く、非常に欠けやすいのですが、応用として覚えておくと便利です。
同様に真鍮なども入手可能です。見つけたときに買っておくのが良いでしょう。
- 思うサイズのパイプを作る
マフラーを作るのに外径30ミリのパイプが欲しいけど手に入らない。そういう場合は、日曜大工センターにある、木のオブジェ?(棒)等を購入し、これを芯にして1ミリ厚のアルミ板を(あれば0.8)木ハンマーで気長に叩くか、全身の力をこめて丸めます。合わせ目は「アルミット」等のアルミ用蝋で穴をあけないように注意して接合します。工具屋さんにはローラーで板材をパイプに加工する工具もあります。実車の2輪のマフラーを自作するぞ!という場合にはあると便利ですが、模型用で自分のを作る程度でしたら、手曲げのゆがみも味わいと思いましょう。
- テーパーのコーンは
同様に、チューンドサイレンサーのインナーバッフルなどのテーパーのコーンも、円錐の木製素材を芯にして「手力」で巻き作成できます。
- 球面は
マフラーの両端の蓋は、メーカー品であれば、きれいな形に絞るなりプレスされるなりしていますが、自作の場合はこうはいきません。平らでもおもしろくないと言う場合。
10ミリ厚位のベニヤ板(日曜大工の廃材でかまいません)これに希望する外径より少し大きめの穴をあけます。
穴の上に1〜0.8ミリのアルミ板を置きます。その上から木製の球を置き、ハンマーで叩きます。先の丸まった木ハンマーでもいいと思います。上手な人なら板金技術で叩き出しもできるのでしょうが、私の場合はこの治具で作っています。
プレス型を旋盤でひいてバイスで成型する事も可能ですが、ハンマーでも十分です。
- パイプを曲げる
上手な人はバーナーで加熱しながら曲げることができるそうですが、普通はうまくいきません。中に砂を詰めて、というのは古くから言われていますが、肉厚が1ミリ以上ある10ミリパイプなどは、そう簡単には曲がってくれません。
これだけは、市販のパイプベンダーを使いましょう。
これも日曜大工センターで8ミリ・10ミリ用が安価に入手できるはずです。購入した状態ではベンダーにバリが出ていたり精度が低い物があったりしますので、事前に修正しておきます。曲げ加工時に、グリスを塗布しておくと避けたりしにくくなるようです。
10ミリ以上は、そういうルートでは入手できませんので、工具屋さんのカタログで私は12ミリ用を注文しました。日曜大工センターのものと違い、価格もびっくりするぐらいしますが、作業はきれいに仕上がります。10クラスのマニホールド加工であれば、12ミリで十分だと思います。(飛行機用)
それでも難しいという場合は、パイプを斜めに切断し、アルミ蝋で接合して何段階かに分けてカーブさせます。
アルミット(商品名)について
アルミの蝋付ができると、作業範囲も増えるのですが、少しコツが必要かもしれません。
それほど難しくはないので、「できない」と思う前に、トライしてみてください。
最近では、金属をしっかり接着できる接着剤もありますので、場所によってはそれもいいかもしれません。
作業に必要なもの
- アルミット もしくは アルミ用蝋
- 耐火煉瓦、コンクリートブロックなど、高熱に耐える作業台
- バケツの水
- 火口の大きいガスバーナー(カートリッジ式)電子着火が便利。
アルミは800度前後で解けますので、極端に高温な火は必要ありません。逆に簡単に解けてしまいます。
酸素バーナー等は、逆に温度が高すぎて不向きかもしれません。
- ハンダこて等と一緒に置いてある、セラミックの断熱作業台(6*12センチ程度)
- 真鍮ブラシ
作業のこつ
- アルミは熱しやすいかわりに、熱も逃げやすいので、接合部分だけ熱しない、回りからゆっくり加熱してゆくというのが要点のようだと教わりました。この作業を教えて下さった方は、カセットコンロの上に網を置いて、下から弱く加熱しながら作業しておられました。接合しようとする材料全体を、均一に加熱しながら温度を上げて行く感じです。
- アルミットのフラックスは材料に直接付けず、水で薄めた物をアルミ蝋の棒の方へ付け作業する。フラックスが付いたアルミは、温度が上がりすぎると簡単に溶け落ちます。
- アルミットの棒をつぶして、溶けやすくする。模型のマフラーなどではそれほど広い接合面ではないので、細い蝋の方が作業が容易です。
- 加熱中は底の部分からいくらでも熱は逃げます。
- 不安定な材料は、銅線等でしばって仮固定します。
- とりあえず、要らない材料を使って、蝋の流れ出す温度と、熱の伝わり方を体得しましょう。
- 一回蝋が流れそこなった箇所は、強引に進めず、常温に戻し、作業域全体を研磨し、地肌に戻す。
強引に進めても、ほとんど失敗します。蝋がきれいに流れる温度と、アルミが溶ける温度はかなり近いので加熱しすぎには注意した方がいいと思います。
- アルミの切削は、ヤスリにCRC556等を塗布しながら作業すると目詰まりしにくいです。
マイクログラス加工
一度要領を憶えてしまえば、それほど難しいものではありませんが、悪臭を漂わせても文句の出ない作業環境は必要です。これが一番の難関。いろいろな方法が専門誌で発表されていますが、ごくごく普通の準備でできる方法をご紹介致します。私も、先輩に教えていただきました。基本的に、飛行機の紙張りと手順は変わりません。3日くらいかけてぽちぽち作業しましょう。本職の方は、ガンでレジン塗布できるのですが、個人ではそこまでできません。
最近では模型造形や美術用に様々な樹脂や型取りの材料などが売られています。いろいろチャレンジしてみるのも良いでしょう。
準備物
- マイクログラス(極薄〜薄) : クリッパー・ミッドウエスト・ノーマーク等
- ポリエステルレジン : クリッパー製FRPセット・昭和高分子製ポリエステルレジン(日曜大工店)+硬化剤(商品名(カヤメック)
- 混合容器 : 私は紙コップを使っています。本職の方は牛乳パックも・・・
- 硬化剤計量用スポイド : ポリのごく小さい物(4CC)でかまいません
- 東邦化研万能シンナー : 筆等の洗浄用
- レジン塗布用の筆 : 10ミリ幅程度の平筆くらいでいいと思います。
- サンドペーパー : 180番〜耐水800番程度
- 使い捨て手袋
- ティッシュペーパー : 塗布しすぎたレジンの拭き取り用
- 割り箸 : 作業中にブレードを置く時の枕
作業要領(ヘリコプターのメインローターなどの場合)
- 生地を丁寧に仕上げます。この段階で仕上がりにかなり影響します
- 作業に必要な大きさのマイクログラスをはさみで切ります。
- レジンを混合します。マイクログラス貼りの場合は、各メーカーで指定された量より2倍くらいの硬化剤を入れた方が樹脂の厚さが薄いため良好の様です。大概最後に余りますので、少しずつ混合します。硬化剤を入れたらしっかり撹拌します。
- ブレード生地の下面から作業します。下面にマイクログラスを置き、中央部からレジンで押さえて行きます。グラスの繊維方向は、使用目的によりバイアスで使うこともありますが、一般には縦横でかまいません。レジンは垂れるほど塗ってはいけません。少し足りないくらいに塗布し、根気よく広げていきます。(レジンが多すぎるとグラスが浮く)
- 下面の中央部を根本から先端まで押さえていったら、前縁の5ミリ程度手前まで塗り広げます。後縁も3ミリ程度の余白を残し、一杯まで塗りません。これを2本作業します。と、最初に混合したレジンが少し硬化を始めるはずです。この時点(30分?)で硬化する様子が無い場合は、外気温が低いか、硬化剤が不足しているか、レジンが劣化しているのはずですので、注意しましょう。レジンを塗りすぎた箇所はティッシュで拭い取ります。
- テールブレードなどは、一度に上下貼れますが、私は2度に分けて貼ることが多いので、ここで先ほど混合した量と同じくらいのレジンをもう1カップ作ります。
- 先ほど貼った下面の前縁から上面へグラスをなじませるように回し、上面中央部後縁を繊維の方向を修正しながら指で押さえ(手袋しましょう)中央部からレジンで押さえていきます。こちらも樹脂が多すぎるとグラスが浮きますので注意します。樹脂の足らないところもチェックしましょう。
- 前縁の作業を終えたら、後縁の作業に入ります。下面の先ほどの塗り残し部分に塗布しはみ出た部分もレジンが染み込むようにします。上面も同じようにレジンを塗布し、はみ出た部分の上下からレジンでグラスがペタと張り付くようにします。後縁部に泡が入りますと、後の作業で面倒ですので、丁寧に筆でなじませ泡を抜きます。
- これでひとまずじっくり硬化させます。
- グラスの余りをはさみやサンドペーパーで落とします。
- 240番程度のペーパーでサンディング。電動サンダーなどがありますと、目詰まりしにくく、作業も楽ですが、マイクログラス層なんか簡単に切削しますので注意。丁寧に手作業で体力勝負。グラスの目が見えたら削るのはやめます。後縁部は、2,3ミリはみ出させておいて上下から研磨しつつ、エッジを立てます。
- サンディングが終わりましたら、もう一回レジンを塗布します。今度は上下一度に塗ってかまいません。ムラがあるとあとあと面倒になるので注意します。(この行程を飛ばして、ウレタンのサンディングシーラーを塗る事もあります)
- 硬化したら、もう一度サンディングします。耐水の800番くらいまで磨くとそこそこ面が出ます。
- サンディングシーラーを吹き(30クラスまでなら、田宮のスプレーワークでも作業できます)、水研ぎをします。
- ウレタンのクリヤ、または希望の色で塗装します。
- ブレードグリップの穴を、真鍮パイプ等でブッシュを付け、バランスを調整して完成。
これがあると便利
- レジンの塗布に使った筆は、万能シンナーで洗浄できます。
- マイクログラスのカットの時、破片が刺さると痛いので、粘着テープ等でこまめに清掃します。小さいお子さんや室内犬・猫等がおられる家庭では特に注意。
- できれば、屋外で(ベランダ等)作業する方が、家族のひんしゅくをかわないですみます。
- レジンを多めに塗ると、簡単に目止めができ、一見美しいのですが、生地とグラスのなじみが悪く、重くなって強度も落ちます。
- 生地の段階で仮にバランスを取り、軽い方のブレードに多めにレジンを塗る、でも補正できます。
- 手に着いたレジンは(どうしても着きます)、お湯+石鹸で根気よく洗うか、呉羽化学のシトラスクリーンという柑橘系オイルのハンドクリーナーがあります(油・塗装汚れ用クリーナーなら可)これで落とせます。
- 汚れてもいい服で作業しましょう。
- ブレードの後縁は、かなりエッジがたちます。コチンと当てただけでも欠ける事があるので、取り扱い・運搬には注意しましょう。
気づいた点は、随時足してゆきます。
バルサやヒノキ棒などが、模型店より日曜大工店で入手する方が容易になったのは時の流れでしょうか。
1997-2001
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