工房しろくま
ヒロボー ベル222 (30クラススケール)電動化
モーター:ハイペリオン Z4020−10
ESC:ハイペリオン 80A
バッテリー:ハイペリオン 3700mahリチウムポリマー5セル
飛行重量:3.7キロ
ヒロボーから以前発売されていた30スケールシリーズのベル222です。現在このシリーズは212とラマとシュワイザーが残っていますが222も存在しました。
当時は32エンジンで根気よく調整して飛ぶという状態だったのですが、15年ほどの時を経て電動化で復活しました。
このクラスは10年以上前に知人がアストロのブラシモーターとニッカドバッテリーで電動化しているのですが、現在広い選択肢のあるブラシレスモーターで減速部分に手を入れないままどの程度電動化できるのかという事も興味ありました。
元々32仕様でしたので、ボディからフレームを降ろしモーターやバッテリーのレイアウトを考えます。この30用スケールフレームは発売当時シャトルよりもエンジン回りの剛性が高く、そのまま骨で飛ばしてもシャトルより高いポテンシャルが在ると言われていた物ですが、エンジンと電動ではエンジンマウントの剛性などで大きな違いがあります。
このフレームは特にファン回りが強固の作られているため、モーターは元のエンジンマウント位置にエンジンマウントを流用したモーターマウントを付けるのではなく、ファンカバーにモーターマウントを製作して取り付ける事としました。
モーターマウントは5ミリのアルミ板を加工しました。冷却ファンとモーターの外径がほぼ同じですので丁度収まります。
ハイペリオンにはZ40シリーズにもっと長いローターのモーターもありますが、薄型大径ベアリングは許容回転数がそんなに高い物は無く、空転で15000回転は欲しい場合にはあまり適合しません。そのため最もローターの短い(ローター縁のベアリングの無い)Z4020を使います。
画像でもわかるようにファン回りに横のリブがたくさん入っており、この部分だけでモーターの保持剛性は十分維持できます。
クラッチは使わず、元のクラッチベルからベルの部分を削り落とし、モーターシャフトの先端をピニオン中心のスターターシャフトの穴に合わせて調整し、永久固着のロックタイトを塗布してピニオンへ圧入しました。
(ここは後に滑ってしまったので、回り止めのピンを追加しています)
マストとモーターマウントの保持が正確にできれば、モーターマウントから下の部分にはこのようにサブフレームがいろいろ付きますので肉抜きはかなり可能です。元々のサブフレームは決して軽量にはできていませんので、遠慮無く抜いて行きます。
サーボはとりあえず双葉の9201のままでテストしています。
現行のシャトル用222のボディとは引き込み脚のレイアウトが違うのですが、当時はこのように1サーボで前後が連動していました。
エンジン仕様で振動対策として非常に有効だったテールサポートやボディとの補助ステーはそのまま使います。
ジャイロはG153BBからGY401にS-9254へと進化します。テール用サーボはエルロンサーボ左からテールパイプへ移しました。
フレームの状態でホバリングテスト。32エンジンとは別次元のトルクで何事もなくあっさり浮いてくれました。回転数もそこそこ出ている様です。
浮力に余裕が在ることがわかったのでボディに入れます。
バッテリーはモーター下のフレーム間に搭載します。ボディ底面に元在った冷却用の排気の穴を拡大しバッテリー取り出し口として、塩ビのカバーをネジ止めします。
ボディが付いた分、少し重量は増えますのでセッティングは変わってきますが、それでも浮きには問題ない様です。
ただ、モーター・バッテリー・ESCの発熱が少し多め(実際には50度以下)に感じられたため冷却ファンを製作しました。
ファンをまるまる製作とい面倒な事も考えていましたが、元の30用ファンを加工して、取り付けハブも元のフライホイルから製作しローターのボスへ固定しています。
画像ではピニオンがそのまま固定されていますが、滑る事がありましたので現在は位置決めピンを併用しています。
在る程度調整が進んで、模型店に持って行ったところ、たまたま来ていた知人に送信機持ってもらって飛ぶところを撮影。
着陸後、模型店の社長に(119の沖村さん)各部の温度を測定してもらいましたが、特に問題となるような発熱は無しでした。
ホバリングしてもらってる動画 (撮影しろくま 操縦しろくまの友人Z)
kuma フォルダの中にあります。
この撮影時にはまだホバリング回転が低く、操縦性も曖昧だったのですが、後にもう少し回すよう設定しています。
純正樹脂ギヤですので、飛行中はギヤ音とブレード音がけっこうするのですけど2サイクルエンジンの排気音が無いのは、スケールヘリにはかなり大きなメリットです。
ホバリングでは32エンジンより遙かに余裕があるのですが、少し各部の発熱が多いと言えば多いため、モーターのターン数変更やバッテリーの6セル化などいろいろ考えていました。
6セルにしてより低電流で飛ばせば熱損失は減りますけど、減速比が変更できないため、モーターのKv値を変更してまで6セル化するメリットは低いように思えました。
最近は冷却ファン付きの物もいろいろ出ていますので、そちらも検討しましたがボツ。
「このままで十分じゃないの?」という外野の声を信じて、5セル仕様で上空テストも行ってみました。
イーグルツリーのデータロガーを時々使い始めているのですが、これを使ってホバリングから軽めのアイドルアップでの調整を行った結果、飛行中の電流値はホバリングで30A前後、上空をゆったり走らせて35A程度という結果でした。
エンジン機の様に極端に回転を上げるわけではありませんが、パワーにはまだ余裕があり回転を在る程度上げないとトルクが稼げない2サイクルエンジンと違い、低速域から十分なトルクがある電動モーターはこういったスケール機にはなかなか相性が良い様です。
高回転での上空からホバリングモードに移しても回転むらは出ません。特に回転の落ちやすい旋回でも力強く粘ってくれるためスケール機にはかなりのメリットを感じました。
上空もスケール機としては十分な物を備えています。シュワイザーやラマだと更に重量は軽くなりますから、余裕はもっと増えます。
テールローターは2ミリのピアノ線によって駆動するため、GY401との相性を一部で指摘されましたが、2サイクルエンジンと違い、出力軸1回転中の角速度の変化が無いため、余分なねじれが起きず、大きな問題は出ませんでした。
重いエンジンやマフラーが無くなった影響で少しテールヘビーとなり、機首を下げ気味でのホバリングをなっています。
ESCにハイペリオンの80Aのスイッチングレギュレーター付きを使っているのですが、80Aのオプトタイプのコントローラーに変更し受信機用バッテリーを別に搭載することで、重心位置は多少改善されると思います。
5セルでのフライトに問題は無く、現状で6分以上の飛行時間があります。エンジン機で乾燥重量3.8キロ(飛行時は4キロ以上)あった事を思えば、電動化で3,7キロというのは良い結果の様です。
シュワイザーやラマへの応用も面白そうですが、このサイズの機体が普通に電動化できる様になった事を実感します。
5セルのバッテリーに現在のモーターでスケール機としての飛行能力には問題が無い事がわかりました。
一時期6セルバッテリーの搭載も試していて機体下部のハッチも拡大していたのですが、5セルに合わせて保持ステーも作り直しました。
受信機の別電源化を考えていましたが、現時点でESCのレギュレーターの能力不足は感じられません(5V4A)サーボに古いアナログを使っているため現在のヘリ用デジタルほど電流を要求しないのでこれはこれでメンテナンスが楽になると思えば良いかもしれません。(T−REX600や電動シャトルでは別電源にしていますが、1400mashのバッテリーでメイン2パックくらい飛ばすと充電した方が良い様です)
ESCの発熱にレギュレーターの負担が大きく影響しているかと思っていましたが、ヒートシンク(普通のトランジスタ用ヒートシンクで適切なサイズのものがあります)を導熱性両面テープで貼り付けてテストしたところ、6分以上飛んで指で触り続けられる程度の発熱でした。
この発熱に関してはESCの設定で進角を自動に設定している事も大きな要因の様です。この機体もですがT−REX600にハイペリオンの80AクラスのESCを使ってコントローラーのヒートに散々悩んでいたのですが、進角を手動設定とし(8度だったりソフトタイミングだったり)テストしたところ、コントローラーやモーターの発熱が格段に下がりました。
固定ピッチの飛行機と違い、ヘリの場合はピッチが抜けた時に負荷が軽くなり回転が上がる事があります。このときにコントローラーは自動進角だと進角を進めてくるため負荷がかかったときの発熱の増大に影響しています。
コントローラーはメインのフレームにタイラップで緩く固定していますが、こうするとESCのセッティングの時にコネクターの抜き差しが大変に難儀しますので、電子パーツ店で4pコネクターを購入し延長ケーブルを作ってやりました。
222ではZ40のアウトランナーを使っていますが、ソフトタイミングでフライトには十分な回転がありました。
Z40シリーズのモーターは4020のみ2ベアリング支持になっていますが、これより長いものはローターの末端を薄型大径ベアリングで保持しています。このベアリングは規格では1万回転までで使うものが大半のため、ペラ付きの飛行機ではその回転に収まりますがヘリで15000以上回すにはベアリングの耐性が問題となると思われます。(飛行機で適正負荷で使うには問題ありません)
重心位置はバッテリーを目一杯前に出すことでかろうじて補正できました。地上でのタキシングにはかなりのダウンとエルロン補正が必要となりますが、操縦に問題はありません。
Kv値の低いモーターと6セルの組み合わせも面白そうですが、この重量で5セルで30Aでホバリングできるのなら問題は無いと思います。
この機体はバッテリー搭載時に3.7キロほどあるためこのようなモーター選択となっていますが、現在テスト中のシャトルの電動版は4セルで問題無く飛んでいます。
222より軽いラマやシュワイザー300ならばモーターの選択でいろいろな方法があるかもしれません。
メインギヤをオプションの物に交換しました。ベベル部分は以前はダイカストのギヤだったように思いますが(勘違い?)樹脂製の物となり騒音が少し減った様です。ビデオ撮影時のぎこちない動きはヘッドのダンパーの劣化によるもので、交換後は正常になりました。
2007/08/22
2007/08/04
Koubou Sirokuma