BECについて



最近普通に入手できる大半の模型用モーターコントローラーにはBECという動力用電源から受信機やサーボを駆動する電気を確保する回路がついており、小型機では大変便利になっています。

小さな飛行機やヘリコプターでは受信機用のバッテリーを別に積むというのは結構負担になりますし、動力用と別に充電するのも手間ではあります。小さな飛行機にはBECは凄く便利です。

ところがこのBEC回路、5Aクラスのアンプでも受信機側へは1A程度、40A以上の大容量のアンプでも2A(ものによって3A)くらいしか流れません。
小さな飛行機でマイクロサーボ(一部の大食い設計をのぞく)を2.3個使うには1Aでも何も問題無いのですが、ちょっと大きな機体で通常サーボ(トルク4キロ以上?)だと2Aで4つ位までが無難なところかもしれません。

実際にアンプの説明書には使用するバッテリーの電圧によって使えるサーボの個数が書いてあるものもあります。

ここで問題になるのは、メインのバッテリーの電圧が高ければ(10セルなど)使えるサーボの個数は減るという事です。
私もなんで?と思っていたのですが、実際には動力用電源の電圧から受信機に供給する電圧(5.5-5V)まで落とすのに、動力用電源の電圧が高いほどその差が多くBEC回路の負担が増えるための様です。

以前は受信機側へ供給される電流値の問題だと思っていたのですが、実際に飛ばすとBEC回路がヒートして急激なパワー抜けや受信機の動作不良を招きます。

例えば
8セルの電動ヘリ(小型サーボ*4 圧電振動ジャイロ)をBECで飛ばすと、理屈では2A程度でサーボやジャイロの駆動に問題は無いのですが、実際のフライトではホバリングやクルージング程度の負荷ではアンプの発熱も問題なく何のトラブルも起きません。ところがアイドルアップなどで回転を上げて飛ばすとモーターコントロール側の発熱も増え、BEC回路がヒートして、アイドルアップ解除で手元に戻した後に急激なパワー抜けを起こします。
モーター側のヒートプロテクト機能だと主っていたのですが、高負荷で飛ばした時にBEC回路へも影響が出ていました。

これは通常の負荷の低いフライトでは起こりません。

これがわかって、600クラス電動ヘリには8セル仕様でも別体のレギュレーターやバッテリーを受信機用に使っています。



これがリチウムポリマーだと

最近はリチウムポリマーバッテリーも非常に放電能力が高く安価な物が入手できるようになりました。
放電能力が高くなると、今まで消費電流が多くて使えなかった機体にも使えるようになります。

ここで問題になるのはリチウムポリマー3セルの機体はニッカド10セルの機体と同じくらいBEC回路に負担がかかるという事です。
特にモーターグライダーなどではバッテリーに相当な負荷がかかります。バースト的な使い方なのでリチウムの放電能力ぎりぎりで使っても大丈夫という考え方もありますが、バッテリーが大丈夫でもコントローラーはあまり大丈夫ではありません。
ましてこれでBEC回路を使って大電流を要求するモーターを回した場合にはBECがパンクするのは明白です。

地上計測で35Aのグライダーに10Cで26A放電の3セルリチウムポリマーを使って、上空でサーボが動作不良を起こす・・という事は当たり前の事です。特にグライダーでは小さなサイズで大きなトルクのサーボを使いますから、3サーボでもBECに要求される電流値は小さくはありません。
ニッカドやニッケル水素8セルならヒートしないと思いますが、ニッカド8セル仕様のモーター・プロペラ・ギヤ比の機体へそのままリチウムポリマー3セルを使えば、当然電流値は増えます。

リチウムポリマーバッテリーが膨らんだとか燃えたというのは冗談で済む事ではありません。
不特定多数に販売すれば想像も付かない不用意な扱いをされることもあります。
最近は自分のミスは言いませんから・・・

灯油やガソリンを燃料に使う飛行機が墜落すれば火事になる事もあります。同じくらいの危険性がリチウムポリマーにもあるという認識は持っておいた方が良いのかもしれません。

一部の販売者が放電能力の高さを誇示するためにそういう使い方を専門誌に出す事がありますが、しっかりデータを取って検証するべきでしょう。
放電能力の高いバッテリーが出るのは嬉しいですけれど、それをぎりぎりまで使うのではなく余裕に回したいです。



70AのブラシレスコントローラーでBEC内蔵の物でせいぜい2Aそこそこです。
これくらいのパワーの機体ならば300から1100mah程度の受信機用4セルバッテリーを積むのは大きな問題では無いでしょう。
BEC回路が大丈夫でもモーターコントロールのトランジスタと同じ基板にあれば熱は受けます。
別体のレギュレーターならばそういう問題は避けられます。
レギュレーターもメーカーと仕様周波数(ヨーロッパは35メガの国もあります)によってはノイズを拾いやすい組み合わせもありますので、安心できる物を使いたいです。

大事な機体ですので、簡単に回避できるトラブルからは免れたいですね。


2003/11/04






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