工房しろくま
市販機そのまま部屋
京商パイパーカブ50 斉藤60T
随分前に入手していた斉藤の60ツイン。水平対向2気筒の4サイクルエンジンとしては現行品では最小排気量です。
音自体は120ジェミニなどの方がはるかに良いのですが、小さなエンジンはやはり魅力です。
当初このエンジンを以前発売されていた京商の40ARFのクリップドウイングカブへ積もうと準備していたのですが、機体の方がかなり古くなっていたため、たまたまリニューアルされた現行(2008年)の50クラスのカブを入手しました。
機体の構造もかなり変更され、カウリングも以前のABSからFRPに変わっています。フラットツインだとカウリングを上下分割しなければならないのでFRP製になった事はかなり有利です。
市販のARF機ですので、製作は説明書通りに作れば何も問題ありません。
60ツインを搭載するのに大きな変更はほとんど不要でした。
60Tエンジンの全長(マウント面からドライブワッシャまで)はキットの説明書に指示されたエンジンの搭載長より5ミリほど長くなりますので、当初防火壁をくりぬき後ろ側に別な防火壁を作ろうかと思っていましたが、誤差の範囲でそのまま付けても無理は無さそうでした。
実際にはこれで丁度良い位置にエンジンは搭載可能です。
ビス穴の後ろから4ミリの爪付きナットを埋め込んでいます。
燃料タンクの位置もキャブレター位置から変な位置には来ず、そのままで問題ありません。燃料消費考えるともう1サイズ大きなタンクが良いのですが、180CCタンクで6分のフライトには余裕でした。
カウリングはプロペラシャフトの高さで上下に分割し、航空ベニヤで爪を付けタッピングビスで組み立てれば問題はありません。
エンコンロッドは防火壁に6ミリ程度の穴を開け、防火壁の裏側へ別にロッドのアウターを受ける板を接着しておきます。
エンコンのホーンは燃料パイプを被せた上から0.8ミリのピアノ線でリンケージしガタは皆無です。
普通に52サーパスなどを搭載した場合よりかなりエンジンは重いため、サーボは標準位置に固定し受信機はサーボの後ろ側に搭載しました。
受信機用電源は今回Li-FeのA123の2セルを放熱式のレギュレーターを介し使っています。レギュレーターには別に電源スイッチがありますが、バッテリーとレギュレーターの間は24時間以上接続する場合はコネクターを抜いて下さいと説明書にありました。実際には飛行場で機体を組み立てる時にバッテリーとレギュレーターを接続し、撤収時に抜くという場合でもバッテリーに問題はありませんでした。
受信機用バッテリーはサーボベッドの前(操縦席シート位置あたり)に防震ゴムを介しベルクロで固定しています。
GP機を飛ばす機会はあまりありませんので、ニッケル水素電池を使って不活性化に悩むのはもうこりごりなのです。しかも今時ニッカドというのも逆行してますしカドミウムの問題も無視できません。
初期のレギュレーターの中には異様にノイズを出すものもありましたが、今は安心して使える物がそこそこ入手可能です。
セル間バランスを考えると重いと言われるLi-Feも安全性も含めてかなり有用に思えます。
サーボはラダーとエレベーターに双葉の9201、エルロンに9601、エンコンにJRのマイクロサーボを使っています。ごく普通の古典組み合わせ。
サーボホーンはこういう機体でもすべてFRPからの切り出し。純スケール機でなくても、ナイロンホーンの受けが動翼の裏側にそのまま丸出しというのはあまり面白く無いのです。
随分前に先輩から教えて頂き実践してますが、なんでもない事で雰囲気良くなって行きます。
当たり前ですが、だいぶ良くなったとはいえ、こういった中国生産のARF機に付属しているリンケージパーツは使う勇気を持っていません。
付属のロッド類はピアノ線でも鋼線でもありませんので、テトラのパーツなどを使います。
ついでに付属しているビス類も日本製の高精度な物に変えておくと、長持ちします。
こういうパーツの入手のためにも地元の模型店というのは大切にしたいです。
安いから通販とか安いからオークションというのも結構ですが、海外からも評価されている良い小物は模型店で売ってもろくな収益にはならないのですけど、こういう物を取り扱ってくれるお店が無くなると、一番困るのはまともに良い機体を飛ばそうとするフライヤー自身です。
風防は接着せずテトラのスケール用小径タッピングビスを実機リベット風に多用しネジ止め。(これ案外雰囲気出ます)
これで結局重心位置はそこそこ指定位置に納まりました。案外斉藤の60ツインに合ってる機体かもしれません。
フライト
当初スロー時のプラグヒートをかなり心配していましたが、ATSの4サイクル用プラグを使う限りその必要は全く感じませんでした。
プラグヒートはシンワの12Vから使うタイプ。パルス式なので電流量を調整しプラグ2本直列にも対応できます。
ペラは最初APCの12*6を使っていましたが、多少慣れてからMKのグラスナイロンの12.5*5を使っています。スケールとしては小径ですが、エンジン機の場合これは仕方ないです。
燃料はコスモの飛行機用15%標準オイル。
あたりが出るまで片肺に悩まされましたが、プラグ交換後は全く問題なく、プロペラシャフトのネジ山が見えるようなアイドリングで安定しています。
フライトはさすがにカブですので、何の変な癖もありません。
主翼は準対称となっています。機体はそこそこ重量がありふわふわとした飛びではありませんが、風にも強く安定しています。
運動性は、外見とは違いけっこうクイックな動きにも対応します。
一般的なカブはスナップロールでも主翼は完全な失速ではなく、空気を半分つかんだゆったりしたロールとなりますが、この機体はけっこうあっさり決まります。
カブですが背面の当て舵はそんなに多く必要としません。スピンもきれいに入ります。カブですがナイフエッジもけっこう決まります。
良く作られたカブのスケール機の様に少しテールを上げた姿勢では飛びませんが、アクロにはこのままの方が向いています。
見た目ほど失速癖は良くない様で、これだけ長い主翼で綺麗にスピンに入れますので抜けでは気持ち余裕が必要です。
クリップドウイングカブを別に設定する必要を感じない演技の切れがあります。カブだけどカブらしくないけど良い部分。
着陸はそこそこ抵抗も大きいので、アイドリングより少し高めでアプローチさせても大丈夫でした。
決してパワフルではありませんが、このエンジン積んで楽しむには丁度良い機体の様です。50%位のパワーでゆったり落ち着いて飛ぶのはなかなかよろしいです。
追加加工
標準の脚の品質があまり良いものでは無かったため3ミリピアノ線で作り直し。
デュブロの1/5タイヤはシャフト径が違うため、ホイル側へ真鍮パイプを埋め込み、軸受けとしています。
フラップ追加してブッシュランディング用の大径低圧タイヤ履かせても面白そうです。
マフラーは2in1の良いものを作ってやると音がよりまろやかになりますが、現行でも問題ありなせん。
なぜか斉藤の60ツインのためにあるような機体です。
2008/10/27
Koubou Sirokuma