ESCについて
かつてはシュルツェやコントロニクなどの高価なコントローラーしか入手が難しく、しかも説明書は良くて英文の補足があって、下手するとドイツ語だけだったりしましたが、最近はアジア製の高性能な物も増え、価格も電動カーでFETアンプとか言ってた頃より遙かに安く入手できるようになりました。
ESC(エレクトリック・スピード・コントローラー)(いわゆるアンプ)はいろいろな種類があり、性能も千差万別ですが、なんとなく気になる事を一つ。
最近のコントローラーは大半が自動でリポをセル数まで認識しますので、買ってきて使おうという場合でも回転方向の確認とブレーキの有無程度の設定くらいでそこそこ無難に使えてしまいます。
ところが、電動ダクトや電動ヘリではたまにコントローラーが極端に発熱して原因がわからず悩んでしまう事があります。
入門者の方はこれを「過激」とか言うのですが、別に過激でもなんでもありません。
たとえば、アイドルアップの設定もありそこそこ上空演技のできる電動ヘリで、上でがんがん回して負荷をかけてもモーターもコントローラーも大した熱が無いのに、おとなしくホバリングさせているとコントローラーが相当に熱を持つという事があります。
また、電動ダクトで市販のダクトユニットにほぼ定番のモーターを定評在るセル数で使うのに、なぜか飛行中にヒートプロテクターが効いてカットしたりする事もあります。
普通は、ヘリならばヒートシンクを足してやるとか、ダクトなら冷える位置にコントローラーを置くとかして対処していますが、それでも根本的な解決にはなりません。
私もこれでずっと悩んでいたのですが、CD-ROMダクトで高回転時の失調防止のため、進角設定を変えて実験していたところ、進角を変えただけでは思っているほど最高回転はかわらないのです。進角遅くして電流値少し下げても推力はそれほど変わらないのです。という事は回転数はそれほど落ちないという事。
そんなものかな・・と思ってましたが、とある30クラスGPヘリの電動化でけっこう負荷軽めにして高回転で使っていたのですがコントローラーの発熱がひどく、試しに進角をマニュアル設定で遅めに設定(多極のアウトランナーなので本来なら合わないはずですが)したところ、パワーは変わらず発熱は下がりました。
低負荷で高回転で使うケース(一部の電動ヘリやダクトなど)ではコントローラー任せの進角設定では、瞬間的に過大な進角で回そうとしてとんでもない電流が流れる事になっているようです。
(アウトランナーでダイレクトにペラを回すなどの場合はこういう事はあまり問題になりません)
という事で、進角をこまめに設定してテストしていたのですが、地元の模型店にリトルベランカの小林さんが訪ねていらっしゃった時の事、キャッスルクリエーションとハイペリオンの違いについてお話をされていて、模型店の社長さんからの聞きかじり・・
センサーレスのブラシレスモーターというのは周期的に瞬間駆動を止めて進角を検知しています。各メーカーでロー・アドバンスでの進角はまちまちなのですが、この時に低負荷高回転で使われているモーターだともう少し負荷がかけられるとコントローラーが判断し進角を進めてしまいます。この時に瞬間的ですが100Aを軽く超える(継続的に40A程度流れていたとしても)電流が流れ、これがモーターやコントローラーの過大な発熱につながるようです。
以前は2極か4極のインランナーがほとんどでしたので、進角設定もそれほど大差無かったのですが、今はそれに加えアウトランナーで極数も多様化していますので、それを自動で進角合わせようとすると非常に広い範囲で進角が変わってしまいます。
さらに、一般に高性能と言われているコントローラーは中のプログラムが簡潔に記述されていますが、廉価なコントローラーでは未整理で複雑な記述がされているものがあります。このために高回転時の追従で差が出てしまい、余分な消費電流を生じます。
ワットメーターやEメーターを接続して計測しても極めて瞬時の事なので測定数値には表れませんが、無駄な発熱の原因となっているようです。
このモーターでこの使い方ならこうだ!という断言ができないので、こういう事もあるのかなといろいろ設定変えて煮詰めて行くと解決できるポイントがみつかるかもしれません。
こういう事が原因で無駄に発熱してしまい、内蔵のBECがダウンしてしまったりヒートプロテクターが作用して飛行中にモーターが止まるという事も発生します。
同じ理由で、ブラシレスモーターは無負荷で回すとあっという間に過電流でオーバーヒートします。ベアリングも痛めますので、回転方向確認程度までで絶対に回転を上げないようにしたほうが無難です。
また、専門誌等がモーターのクラス分けの目安としてワット数を言う事があります。ワットは電圧*電流ですから、4セル30Aと3セル40Aはワット数としては同じなのですけど、モーターの発熱は電流値にほぼ比例しますので実際のパワーとしては熱で逃げない分4セル30Aで使う方が優れています。
バランサーも無く、多セルに対応した充電器が特殊だったので難しかったのですが、今は安全に充電できますので頭の隅においておいて良いかもしれません。
ただし、3セル設定のままの機体へそのまま4セル積むと確実に電流値は増えますので念のため。
2008/09/02
(C)Koubou-Sirokuma