工房しろくま


OK模型 メイス 2.6mクラス モーターグライダー



ゆったり飛ばせる電動グライダーが欲しいなと思っていた頃にOKから発売されました。
ちょっと大きめですが、これくらいの方が高度取ってなんとなくサーマル拾えます。
発売初期に、このオレンジバージョンを待って入手したのですが、しばらく製作できず、知人の機体をいろいろ見てあれこれ手を加えやっと完成です。

モーターはハイペリオンのZ30を使いました。このクラスではHackerかこれかでしょう。ペラはグラウプナーの13*7、そこそこ上がってくれる組み合わせです。
モーターシャフトが5ミリになりますので、キット付属のハブは使えません。OKの5ミリ用ハブが必要です。さらにスピンナーも金属製のターボスピンナーが付属してますが、取り付け穴が2ミリですので、5ミリ用ハブに合わせて2.6ミリに穴を拡大する必要があります。
私のは製造公差ぎりぎりだったのか、ハブとスピンナーの合いが少し悪く修正が必要でした。

バッテリーは30クラスアクロ機で使っている2500mah3セルのリチウムポリマー。少し頭重になります。(尻尾に20グラムほどウェイトが必要です。)
サーマル第一ならモーターを1サイズ小さいもの(3019など)に代えれば重心は適正になると思います。
ホットライナーではないので、急角度の上昇が必要かどうかは好みで選択していきます。



組み立て
OKのグライダーは1.2mクラスでも定評があります。ゆったりあっさり作ろうと思っていたのですが、何カ所か要修正部分がありました。

私の機体だけではないのですが、このメイスはエレベーターのリンケージで苦労されるケースが多いです。
リンケージを見てみるとエレベーターロッドの高さが低すぎるため、ベルクランクに向かって無理に曲がっている様です。
ロッドの先を曲げてもいいのですが、ガタが出るだけなのでロッドのアウターを抜き取り、アウターの受けを作ってベルクランクの高さに合わせます。
(ベルクランク自体を1.5ミリなり2ミリのジュラ板で作り直しロッド穴を外に出すのも良い方法かもしれません)

ベルクランク自体のガタも気になりましたので追加加工

胴体側のベルクランク受けのベニヤを平行になるくらいにヤスリで加工しておきます。(表面のガラスクロスが落ちるくらい)
ベルクランクの軸受け部分の厚みを増やす事でベルクランク自体の傾きを防止します。
加工が済んだら後で悲しい事にならないように4ミリ真鍮パイプが通る穴に少しだけ油分与えておきます。
画像でもわかるようにベルクランクのロッド側のリーチがもう少し長くても良さそうです。
ロッドの先はZに曲げず、L字に曲げた先に真鍮のストッパーを半田付けします。ロッドはセンターを通るように少し曲げてあります。

これでエレベーターのガタや舵残りは解消しました。

でも・・ このエレベーターカンザシが通る外径4ミリの真鍮パイプ、説明書にはカンザシが3ミリという事になってますが、実測3.2.ミリでした。しかも表面にヤスリ目が残っていて、このままではどうやっても通りません。知人はここでかなり難儀したようです。
真鍮パイプは内径が3.2ミリでしたので、カンザシを3ミリピアノ線に交換することもできず、カンザシを修正します。
電動ドリルのチャックでカンザシをくわえ、回転させながらサンドペーパーで磨いていきます。
何度か様子みながら耐水ペーパーで仕上げ、表面の研磨かすを拭き取ってはパイプに合わせていきます。
3.2で設計されているようでしたので、表面の傷がざっと消えたくらいで通りました。

グライダーなので、このへんはかっちり仕上げないと飛ばして楽しくなくなります。

ラダーは胴体後ろのバルサ材をレーザーカットされた幅よりかなり修正しました。胴体後端の幅がバルサ材の幅くらいに仕上がるようにするとエレベーターリンク周りもまとまります。
リンケージロッドがかなり下からでてきますがそのまま組みました。後ですっきりしないところがありましたので、製作前にエレベーターロッドと同様に7ミリほど上に移動したほうがすっきりおさまります。

ロッドは胴体後部の中間くらいにEPPのブロックを適当に作り、エレベーターとラダーのアウターパイプの穴を開け、前から押し込んでおきます。
この際にノイズレスパイプを1本追加し、アンテナ内装用のガイドにします。
胴体にカーボンが使われている場合は素直に機体の外にはわせるのが安全です。

ラダーはこれで大丈夫となります。

主翼のカンザシは胴体側にあらかじめ穴が開けられていますが、多少修正が必要です。
私は大丈夫だろうとカンザシ受けパイプ(カーボン)が通るように加工し接着してしまいましたが、カンザシ穴の精度は私の機体ではあまり良くなく、前後の修正が必要でした。
そのため、カンザシ受けはアルミパイプで作り直しました。
上下の修正をするとアライメントピンの穴も上下の修正が必要になりますので、主翼を仮組しながら調整し接着します。

このへんは大手メーカーなのでかっちりあっさり行きたいところですが、しかたありません。

くみ上げて確認したところ、主翼も水平尾翼もずれはなく正確に仕上がりました。途中の加工は面倒ですが、仕上がりがかっちりすると気持ち良いです。

バッテリーはマウントを作り水平に搭載しようかと思いましたが、キットの指示に従いました。
ESCは手持ちのハイペリオンの80AのOPTOタイプ。このクラスの6サーボなら最近のスイッチングBECのコントローラーでまかなえますが、手持ちの物を使い、キャッスルクリエーションのスイッチングBECを併用します。
受信機はエレベーター・ラダーサーボ(ハイテックHS−81)の後ろ(カンザシの下)にベルクロ止め。
ESCやBECユニットから気持ちだけ離します。

送信機はJRのPCM9X2を使いました。グライダーの設定は非常に楽な送信機です。
この送信機だと主翼4サーボの設定は非常に楽ですが、7ch受信機を使う場合モータースイッチの信号を7ch目(AUX2)へ出せません。
AUX2を送信機右肩レバーに設定していますので、モーターのチャンネル(AUX3)からAUX2へミキシングをかけ、AUX2レバーは中立で使います。
AUX2レバーを上半分だけ使うとモーターが中速までコントロールできますが、普通はモータースイッチ(私はラダーD/Rスイッチで設定)しランチモードで使います。
ESCでソフトスタートとモーターブレーキを設定しておけば何も問題ありません。

通常の飛行機の考え方のままで設定される場合は、スロットルスティックでモーターをコントロールするように設定される事も多いようですが、モーターグライダーではモーターを常に回すわけではない(単発的に10秒ちょっと回す程度)なので慣れればスロットルスティックで制御する必要はありません。
エアブレーキと混同を避けるという考えもありますが、ブレーキ操作時にモーターを回す状況はまず無いと思います。

9ch受信機を素直に使えばいいのですが、7chでも使えなくはないという事で。

キャノピーは胴体のラインに合わせて調整します。
固定用ピアノ線は前側は2ミリ程度出る程度にしておかないと主翼を付けた時に付け外しができません。

紆余曲折ありましたが、完成。

主翼止めピンは紛失防止のために、ナイロン糸で胴体とつないでおきましょう。
カンザシも運搬時は胴体内部に入れておくと飛行場であわてなくて済みます。



フライト
舵角は説明書通りにしましたが、エルロンサーボのホーンは最初から付いているものでは舵角が少し足らない様でした。(サーボホーン標準一番外 エルロンホーン外から2番目)

距離テストをし、モーター中速で投げてみましたが、穏やかな上昇。適当に高度を取ってクルーズモードでトリム合わせ。エルロンが少しずれていましたが(主翼本体ではなくエルロンの取り付け誤差)穏やかな飛びです。
リブ組みカーボン補強のサーマル専用機の様な飛びはありませんが、のたーっと浮きます。あまり低速で小回りさせると転けます。慣性にまかせてのたーっと飛ばすのが良い様です。

重心位置が少し前気味だったので、一度おろしバラスト追加。
今度はダイブでも癖は出なくなりました。

モーター全開で45度以上で上がります。垂直にも上がりますが速度が上がらないので無難に上昇。2500mah3セルで延々と飛ばす設定なのでこれで十分。

重心が下がったのでサーマルモードでフラップ合わせてやるとのたーっと浮きます。
軽量なハンドランチ機の様な敏感な反応はありませんが、なんとなく浮いてます。
このへんが2M超えのモーターグライダーの良いところ。上層のなんとなくサーマルの様な空域でゆったり浮きます。
スピードモード(両エルロン少し上げ)でも極端に速度が上がるわけではない(モグラなので)のですが、大きいのでそう見えるだけでそこそこ走ってる様です。
慣性が大きいのでループでも速度は落ちません。

非常に穏やか。エルロンの差動(ディファレンシャル)はキット指示通り多めの方が良さそうです。

エアブレーキ(バタフライ)はキット指示通りに設定しておきました。
全開でも効きは穏やかですが、これくらいの方が速度を落としすぎる事がなく使いやすいでしょう。
バタフライ時にエレベーターをアップ側のオフセットと思ってましたが、ダウン側で落ち着きました。
飛ばしながらこういう調整ができるくらい穏やかな飛びです。

平地の場合、どうしてもブレーキがないといけないというほどの物ではないのですが、そこそこの大きさの機体なので近くに来るとモグラという事もありそこそこ速度は出ています。
ブレーキ使いながらアプローチさせ、接地前(高度50センチ程度)にはブレーキ解除することに慣れた方が良いです。
慣れれば着陸は非常に楽です。

サーマル機の様には浮かない、ハンドランチ機ほどサーマルに反応しない、スロープ機ほど敏感でないし走らない、という機体ですが穏やかにぼーっと空見ながら一息つくには良い機体です。
椅子と帽子と飲み物準備して、空見るには最適。

スロープでのフライトは動力用バッテリーにリポを使っているためエリアは限られます。胴体は標準的なスロープ機と比べればグラスが弱いので少し気を付けた方が良いかもしれません。
速度は大して出ませんが、弱めの微妙な風では良い飛びをしそうです。
シャーレ機が万能というわけではないので、一機あると楽しめる機体に思えます。




2009/05/07



Koubou Sirokuma