製作 上から下へ製作は進みます
胴枠組木の実験
胴枠の材料でバルサを単一方向の木目で使うと方向によっては強度が不足することがあります。通常サイズの機体ではバルサの厚みを増したり航空ベニヤを使います
が、小型機の場合こういう方法は使えませんので、予めバルサ2枚を木目を90度ずらせて貼り合わせた物を使ったりします。
F9FやA4ではそういう事をしていますが、場所によってはそれでも強度が足りなかったり貼り合わせに使う接着剤によっては面が狂う事もありました。
そのため今回はこういうこたつ天板の様な?木組みを実験してみました。
最近のレーザーカットの機体にはラトルスネイクの超小型機の様にこういう木目で正確に組める様に設計された物もありますが、個人では予めこういう木目で貼り合
わせた材料から加工することで対応します。当初これを45度ずらせて2枚貼り合わせも考えていましたが、今回2ミリバルサを使ったため、そこまでは必要無いよ
うでした。
胴体後部の排気口あたりの胴枠など、肉厚があまり取れない箇所ではそういう作り方も有効かもしれません。
カーボンキュアシートを瞬間で貼っても良いのですが、接着剤を浸透させると思ったほど重量は変わらないケースもあります。
例によって実機資料の三面図から基準線を決め、胴枠位置を考えながら実寸図面をA3方眼紙に書いて行きます。私は側面と上面を書いて、各胴枠の寸法を決めてい
きます。
これを胴枠材料に2Bのシャーペン(0.5)とコンパスで書いてカッターで切り出します。
なかなか面倒な作業です。
頑張って切り出すとこうなります。
実機図面を見る限り、この機体は主翼から前の水平線に対して主翼の取り付け角は0度で良いようです。そのかわり主翼後縁から後の胴体は少し跳ね上がった形状と
なっています。
中低速飛行時には胴体後部が水平となり、胴体前部がやや上向き(実機の広報写真でもそういう姿勢で飛んでいるものが多いです)となります。胴体でも揚力のかな
りの部分を受け持っている事になります。初期のリフティングボディという事の様でした。F16などのブレンデットウイングボディとはちょっと理屈が違います
が、吸気口下面にサイドワインダーミサイルを搭載するかどうかでも揚力が変わるという事なので、胴体の折れ曲がりの理由が少し見えてきます。
実際、実機の主脚位置は主翼翼端の前縁を結んだ線よりも気持ち後くらいの位置にありますので、重心位置は胴体の揚力もかなり考慮されていると推測できます。
こういう丸胴の機体は水平飛行で機首ちょっと上げ気味で飛ぶ様にセットする(推力線や主翼迎角で合わせます)様にしたほうが飛ばしやすい事が多いです。
小さなサイズの模型機ではこういう機体は手投げでの初速不足や着陸時の速度低下による失速が問題となりますが、EDF40クラスならカタパルトによるバンジー
スタートと草地への胴体着陸であればこの大きな問題がクリアできます。
形状から手投げはかなり難儀します。三宅さん(空野彦吉さん)の完全スケール104のテストで手投げ担当された方が仰ってましたので、間違いありませんです。
F15やF18の様な双発肩翼機なら手投げも保持が容易ですが、そうでない機体は素直にバンジー使った方が無駄なトラブルを招かないで済みます。
という事で翼面積のデフォルメは無し、F9Fと違いターボジェットの機体なので排気口の口径も大きいので実寸でEDF40が内装できます。(パンサーと104
が同じパワーユニットというのがちょっと心配ですけど)水平尾翼もほぼ実寸という事で外見はインテークのコーンとインテークと胴体側面の部分だけで済みそうで
す。
メカプレートとなる底板を基準に胴枠を接着していきます。サーボマウントはこの時点で接着しました。ホームセンターで売っている15ミリ厚のバルサ板(飛行機
に向いた木質ではありませんが)に下駄をかませて底板をゼリー状瞬間の点付けで仮固定します。画像ではダクト位置直前の胴枠までしか組んでいません。
細く切った紙の帯で採寸しながらインテークダクトをクラフト用紙で作っていきます。主翼スパー位置あたりがいびつな形になってますが、紙を慣らしながらなんと
なく形を作っていきます。ダクトに沿った胴枠は垂直を確認しながらダクトに接触している部分に接着剤を流し位置決めしていきます。
実機でもエンジンぎりぎりで入る機体です。配線や操縦機構が背中のこぶに入ってるくらいなので、模型でも中はかなりタイトです。コントローラーからバッテリー
と受信機へ通じるケーブルをどこに通すのか、また難儀しそうです。
メカプレートの底板は上面のプランクが進んで、定盤から分離したら余分な箇所は切り落としていきます。
パンサーほどややこしい面形状ではありませんので、多少はましだとは思います。
吸気口の面積はデフォルメしていません。F9Fで吸気口面積をダクト内径面積より少し大きくしていましたが、高速直線飛行時にヨーイングを起こす事がありま
す。これが吸気口が大きすぎる場合が原因となるという説があり、この機体ではそれほど大きくする必要はないと考えます。
静止時の吸気の流れと飛行中の流れは違ってきますので、静止状態で実験していても目安としかならないようにも思えます。(飛行速度は推力だけではなく、流速や
機体の抵抗が大きな影響を与えます)
主翼は3ミリバルサの2枚貼り重ねです。エルロンのリンケージは図面段階で散々頭ひねりましたが、結局2ミリカーボンロッドによるトルクロッドとし、吸気ダク
トを貫通させて内側にコントロールホーンを付ける様に考えています。
前縁には2ミリ角のヒノキを入れてます。フリーのバルサハンドランチグライダーを作る方には珍しい事ではありませんが、この状態から上面を削りフラットボトム
の極薄翼形とします。
バルサの貼り重ねにはタイトボンドを使いましたが、高粘度瞬間でも良かったみたいです。
主翼はさすがに小さいのですが、面積だけで考えるとF9Fのサイドポンツーンから外側の主翼と実際には大差無かったりします。飛ばすとどうなんでしょうか。
実機はこのエルロンのヒンジラインから後の内側がフラップとして動作しヒンジ部分から圧縮空気を吹き出しフラップの効果を増大させます。前縁スラットも動きま
すので、着陸時にはそれなりに速度が落とせますが、模型機でそういう動作は難しくなります。もう少し大きな機体ならフラップを可動させ、エルロンより内側を可
変キャンバーのような使い方をして(実機の機動時のフラップ動作の様に)運動性を上げる事もできますが、このサイズでは余分な事は考えないで飛行速度を上げる
ように考えた方が安全です。
肉抜きは特にしてませんが、リブ組みに1ミリバルサプランクと比べ、極端に重いわけではないので大丈夫でありましょう。
治具となるバルサ板にセンターの線を引き、胴体後部の胴枠をそれに合わせて下駄をかませて位置決めをします。ダクトマウントで少し捻れてましたけど気にしない
気にしない。
後部胴体の下側にはダクトのメンテナンスハッチが付きますので、その分割線で縦通材を入れています。これによって胴枠の位置決めも兼ねます。
垂直尾翼の取り付け面の修正をし、主翼根本に下反角に合わせたバルサ板を貼りアライメントを確認して胴体と接合します。エルロンのトルクロッドの穴もこの時点
で修正。
胴体前部と後部の側面を少しプランクしたら治具から外します。
エレベーターのロッドの取り回しもこの時点でチェックしておきますが、先に通すとエルロンリンケージで泣きますので、固定は後にします。
縦通材とプランク材で胴枠の位置は決まってきましたので、基準となっていたメカプレートの余分なところをリューターで落としていきます。他にも位置決めに使っ
ていたバルサは遠慮無くカットしていきます。プランク作業で捻れる事が無ければ、余分な所をどんどん落としてかまいません。
インテークから前のメカプレートはバッテリー搭載位置だったり、バンジーフックの台座となったりしますので、この時点ではそのままです。
翼付け根の膨らみに使ったブロック部分も内側から可能な限り削っておきます。(あまりやると後で外側仕上げたときに悲しい事になります)
実際それほど重量は変わらないのですが(多少は減りますが)この後のプランクで内側からの作業が楽にもなります。
この機体で一番悩んだ部分。画像だとあまりわかりませんが、そこは重要機密ということで(ノ ̄∞ ̄)ノ(うそうそ)
エルロンから2ミリカーボンロッドをトルクロッドで使い吸気ダクトを貫通させてダクトの内側にホーンを付けて中でリンケージします。
ホーンをできるだけ大きくし、作動時のストロークを大きくすることでトルクロッドの受けのガタの影響を減らそうという魂胆。この方がリンケージロッドにも無理
がかかりません。
アクロ機ではありませんので極端な舵角は必要ありません。こういう機体では操舵時やニュートラルの舵の精度の方が重要になりますので、サーボ側の動作角度をで
きるだけ大きく取り間違ってもATVやAFRで圧縮しない使い方が無難です。
送信機で設定できるんだから同じじゃないかという意見も最近多いですが、ただでさえニュートラル精度で不利なマイクロサーボを使う場合には(ポテンションメー
ターのサイズが小さくなるので仕方無いことです)こういう部分をあなどるとひたすら飛ばしにくい機体になります。
今回は双葉のS3108を使います。このクラス似たり寄ったりに見えますが、マイクロ電動ヘリで使ってその差は圧倒的でした。これ以外ならGWSのピコかOK
の9グラムサーボくらいしか(当然JR等の同サイズでも良好です)とりあえず安心なものは無い様に思えます。
青いサーボも使いやすいのですが、この場合にも同じ理由でできるだけ動作角を増やして(AFRやエンドポイントで120%以上にしてもかまいません)できるだ
けサーボ側のホーンを内側(小さめ)で使い動翼側のホーンを大きめで使うことで動作位置精度の甘さはカバーできます。
こうすれば無駄に高トルクのサーボは必要ありません。ATVで動作幅を50%に圧縮すれば、同じストロークで同じ力を出そうと思えば、トルクは2倍必要です。
ファンフライの場合は仕方ないですが、通常の機体にはそんな大きな舵角は必要ありません。まして高速なダクト機であれば舵角より動作精度の方を優先してもかま
いません。
(着陸時にはけっこうエレベーターの舵角が必要にはなりますけど)
底板を抜いたので、ESCからのバッテリーと受信機へのケーブルは胴体下から内部に回せそうです。コントローラーはダクトの下側に搭載の予定。
これなら受信機からしっかり遠ざけられます。
全備280グラムくらいまでで上がればなんとかなるんじゃなかろうかであります。
主翼小さく見えますが、実際に胴体に付くとF20あたりと比べて極端に小さなわけでもないかなと思えます。飛ぶかも(⌒∞⌒)
これから垂直尾翼に入ります。フライングテールの動作も散々頭ひねりましたが、うまくいくと良いであります。
その後はキャノピー作ってプランクしてひたすらサンディングしていけば生地完成。10月の飛行会に間に合わせるのはけっこう厳しそうであります。
インテークの外側をとりあえずプランク。OKのFXを使ってましたが、ZAPの超低粘度を使うと面白いくらい隙間に染みこんでいきます。こちらの方が使いやす
いかもしれないです。
主翼付け根のラインもなんとなく形になりそうですが、まだまだペパーがけしないといけません。
1ミリの甲板貼りで研いでいくと実際には0.5ミリくらいになるところもありますが、これで飛行に不都合は出ません。
そろそろ全体のラインのつながりを確認しながら修正していきます。作業が進んで強度が出てきた部分で余分な構造材はリューターで落としていきます。
胴体下面は縦通材を足してやりました。そろそろバンジーフックの周辺と胴体後部下面の垂直安定板(カーボンロッドを追加して尾そりとします)のアンカー部分の
補強も行っておきます。
垂直尾翼を1ミリバルサと1ミリ航空ベニヤから寸法出し。フライングテールなので大きな舵角は必要ありませんが、リンク部の精度は頑張らないといけません。
何カ所かプランク材の接合で失敗したところがありますが、軽量バルサパテと瞬間裏打ちで修正していきます。インテーク部がクリアできれば後はF9Fの様な複雑
な曲面ではないので作業は楽なはずであります。
実機の水平尾翼はフライングテールとなっています。模型でここを省略するわけにもいかず、このサイズでどうしようかと頭ひねりましたが、1ミリ航空ベニヤのベ
ルクランクを軸受けプレート(これも1ミリベニヤ)で挟み込む事で回転軸の水平維持をさせようとしてみました。
厚めのバルサブロックにボール板で2ミリの垂直な穴を開けます。ここに2ミリこカーボンシャフトを立てベルクランクのプレートを垂直に維持して低粘度瞬間で固
定します。
これを1ミリ厚のシムを挟んだ軸受けプレートで挟みます。挟む面積を大きくしておけばそれだけシャフトの水平度は上がります。
作った段階ではさらにリンケージロッドの穴の下側をガイド溝に沿わせて動かそうかと思っていましたが、これだけ(画像だとサイズわかりませんが)で精度に問題
は無いようでした。
ベルクランク表面は低粘度瞬間を流した後で研磨仕上げします。
動きが渋い様だったら後でロウかシリコンで動きを改善しようかと思ってます。
このユニットに合わせて垂直尾翼を作ります。ユニットの厚みが3ミリのため、垂直尾翼の内側に3ミリ幅の空洞が必要です。そのため垂直尾翼後縁を尖らせる事が
難しくなりましたが、後縁材に合わせてできるだけ削って整形します。
完成した垂直尾翼を胴体と接合し少しプランクをしたところで撮影。エレベーターロッドの取り回しが少し変わってしまいましたが、動きは良くなりました。
後はキャノピーの整形やハッチ回りの細工が残っていますが、大きなポイントはなんとかクリア。あとはプランクプランクで研ぐべし研ぐべしであります。胴体後部
の一部プランクしてるところが胴体後部の跳ね上がった部分となります。
全体を見ると垂直尾翼はけっこう大きめの様です。(このため安定が強すぎ主翼に下反角を与えているとの事です)見慣れると主翼はそれほど小さくは見えなくなっ
てるのが少し怖いです。仕上がり250グラムはちょっと厳しそうです。280位までならなんとかなるかもしれません。上昇力より速度優先の機体と自分で納得し
てます。
インテーク部分の胴枠から後のプランクが完了。おおざっぱに言葉通りの荒削りで少し面が見えてきました。プランクが薄いため力を入れてサンディングすると形状
が波打ってしまいます。荒め(#100)のサンドペーパーや研磨スポンジで力を入れず集中させないように削っていきます。
プランクが進む毎に内部の胴枠の余分な部分や胴枠の位置決めに使っていたメカプレートを削り落とします。
細く切ったバルサ板で甲板貼りをしていきますが、このプランク材を曲面に沿わせる時に横方向に無理に曲げない事がポイントの様です。幅を小さくしていれば在る
程度は曲がりますが、これを曲げず(曲線部はプランク材側を削って合わせます)隙間にスクラップバルサを埋め込んで行き瞬間接着剤を浸透させて形にします。
プランク材に横方向の無理な力を入れないため、胴枠に必要以上の力が加わらず形が正確に出てなおかつ強度のあるプランクとなります。
広島のベテランスケールモデラーの大久保さんに教わった方法です。
実際にこの方法で組むと薄い外板にもかかわらず非常に剛性のある(抑えるとぺこぺこするくらい薄くなりますが)胴体となります。当然重量は極めて軽くなりま
す。
心配していたESCはRC119さんでフェニックス10が入手でき一安心。
胴体下部のフィンは前縁に2ミリカーボンロッドを入れました。バンジーフックのマウントも先に位置決めして加工しておく方が後で楽です。
胴体前部のプランクも終わり、ざっとサンディングを終えたらノーズのブロックを加工し(内側は肉抜き済み)接着後全体を整形していきます。
さすがにバルサの粉が遠慮無く舞い上がりますので、屋上でごしごしです。通常は木目に沿ってペーパーがけをしますが、この場合はプランク材のつなぎ目の段差取
りが目的ですのでつなぎ目に対して縦方向に研磨していきます。
3Mのサンディングスポンジのミディアムが便利です。場所によって小さなバルサ片に#100のサンドペーパーを貼ったものを使います。次第に向こうが透けて明
るく見えるようになったらそこそこで終わります。薄くなりすぎたところは低粘度瞬間を裏から染みこませ補強しますが、裏に手が入らないところは表からしなけれ
ばなりません。
大きな段差は軽量バルサパテを使っています。
プランク材表面の余分な接着剤が削り落とされ、表面がなだらかになってくると気持ち機体が軽くなります。
キャノピーフレームにも取りかかりました。これも同じ工法でプランクします。外形が整ったらキャノピー型の製作に入ります。
104の雰囲気が出てまいりました。うまく飛んだら幸せであります。
キャノピー部分のハッチが完成。合わせ面を少し大きめに作って研磨修正しながら合わせていきます。キャノピーのラインとのまとまる部分もなんとなく雰囲気出ま
した。
インテークのリップ部分は手前に見える金属スプレー缶に1.5ミリバルサを横目方向で1枚巻き付け、その上からもう1枚高粘度瞬間を使ってバルサを巻き付け接
着します。戻ろうとする力が木材に加わらず、強度があり加工性が良い工法です。海外のモデラーは尾翼のフレームなどを治具を使いながら木工ボンドで気長に作っ
ていく人が多いですが、材料の太さの割に強度があり変形しにくい作り方でです。いずれはそういう細工で作ってみたいです。
ダクト搭載部のハッチもキャノピー部分と同じく甲板貼りで完成。単純な形状なのでバルサを曲げて普通にプランクでも良いですが、やはり実際に組んだ後の剛性は
甲板貼りの方が有利です。(特にフィルム貼りの収縮に対しては違いが大きく出ます)
垂直尾翼や主翼後縁のフィレットも加工完了。排気口回りの成型も終わって、あとは胴体の背びれ?と下部のフィンと水平尾翼を作れば木工作業の部分は終わりま
す。その後仕上げの研磨を行い生地完成のはずであります。
今回はカーボン素材に頼らない工法をしています。ダクトケースにカーボンキュアシートを巻いて補強というのは常套手段ですが、肉厚を上げないと思ったほど強度
は上がりません。
EDF40がきっちりはまりこむ様なカーボン板を使ったリングが作れれば良いのですがそうもいきません。(そういうのが出ると嬉しいですけど)
今回はマウント面から上側(搭載時には下側)に半円の補強リングを追加し、裏面にもマウントに接触しない範囲で補強リングを追加しました。
このユニットにはFeigao5800がリチウム3セルの場合一番無難な組み合わせですが、このパワーを無駄なく使うにはケースの剛性向上が必須になります。
EDF40のファンはそれほどタイトな設計ではありませんが、剛性不足によってこれでもケースにファンが接触してしまう事があります。(特に片持ちマウント)
これを少しだけ補強してやる事によって気持ちよい音で回してやろうという魂胆です。(実際F9Fなどで効果ありました)
今回はさらに雑音の根元であるファンの偏芯対策を少し頭ひねってあります。バランス修正という事が時々言われますが、もともとそんなに重い材料ではありません
し、樹脂の成型が不均一という事も考えにくいです。
そうなると実際にはファンを押し込む時に極めて小さな偏芯が起きてしまっている可能性があります。
実際、このファンはスピンナー先端にボスが付いてますから、最初に押し込む時によほど気を付けないとボスが曲がってしまう可能性があります。
CD-ROMモーターを使った時に3ミリシャフトに対応したボスを使うことでEDF50で4万回転前後回してもファンのトラブルが皆無になりました。
1.5ミリシャフトでどこまでできるかわかりませんが、今回一つのポイントになります。
机が散らかりまくり(ノ ̄∞ ̄)ノ
キャノピーの製作に入ります。
側面と上面からの投影型を1ミリベニヤで作り、ホームセンターで安売りしているバルサブロックを合わせて雄型を作ります。
これに少し眺めのマウントを接着し(私は瞬間で貼りましたが、ヒートガンの熱で溶けますのでエポキシか木工ボンドで気長に接着したほうが良いです0.5ミリ塩
ビ板を曲げてゆきます。
頻繁にこういう作業をするなら掃除機を使う「吸うぞう」などの負圧式の成形機があると良いのですが、たまに作るならこういう細工で十分製作できます。
いつもは片側をピンで止めて反対側をペンチで挟んでは伸びた所をピンで固定していくのですが、今回は試しに塩ビ板の周囲に穴を開けておき、輪ゴムでテンション
かけてみました。
大きく伸ばすところはこれでもペンチで引っ張りますが、案外素直にいきました。
ドライヤーでも1000Wで高温になるものなら使えますが、ヒートガンがあると便利です。
型に沿わせてカットラインを決め、あとは現物合わせで修正します。水平尾翼も形になり、なんとなく104に見えてきました。水平尾翼小さいのが気になります
が、変形デルタ翼に水平尾翼が付いたと思えば(そういう重心です)これで十分なのかもしれません。
背びれ?の部分と下部のフィンを作ればやっと生地完成となります。
前夜からごそごそ軽量紙粘土で作った操縦士に色を付け、イジェクションシートと計器板を発泡板からそれとなく作っておきます。操縦席は今回一段低い位置にパネ
ルを作りましたが、パイロットの座高が気持ち高めの様です。
操縦士のヘルメットと肩幅は、私の実寸から算出。本気のスケールではありませんので、ちょっと大きめの操縦士も楽しいといえばそうであります。
操縦席ハッチのノックピンも加工し、胴体に仮組みした状態でキャノピー固定し硬化を待ちます。
背びれ?(実機はここにワイヤーハーネスやらリンケージが通る様です)(それくらい実機でもタイトな設計の様です)を細工し、ハッチの止めもここに2ミリピン
をスライドできるようにし(スプリングのリターンとかは省略)細かい部分を仕上げたら生地完成となりました。
作業がたてこんでますので、ここで写真を撮ってる余裕はなくそのままフィルム貼りに入ります。
今回はOKなどから入手できるカバーグリップを一部使いました。こまかな逆アール部分は従来は瞬間を使ってたりしましたが、試しに使ったところ非常に良く食い
ついてくれます。
あまりフィルム貼りは丁寧ではないので完璧な仕上がりにはほど遠いですが、曲面の端っこの角とかで良い仕上がりとなりました。
使用したのはオラライトの白。アサミさんのミラクルフィルムやトイファクトリーのフェザーコートが使いやすかったのですが、フィルムとしての完成度はこちらが
良いです。
後で塗装仕上げとなりますので、塗料乗りが気になりますが、テストピース作ってあれこれやってみることにします。エンジンウレタンが普通に使えますから特殊な
プライマーまで必要ないと思います。
というわけで・・
フィルム貼り完了。いつのまにやら下部フィン(前縁に2ミリカーボンロッドを使い尾そりを兼ねます)やら水平尾翼の整流板やら付いて一応形になりました。
インテーク部分のショックコーンは塗装後に付けるであります。
キャノピーまわりが少し重くなったためこの状態でやや重心前気味ですが、バッテリーをあまり前に出さなくて済みそうなので良いかもしれません。
重心位置は実機の主脚位置から推定して、模型機としての安定を加えて主翼付け根の前縁あたりではないかと思います。この機体は主翼で浮くというより、エンジン
から前の胴体の浮力がかなり働く様です。
主翼は確かに小さいのですが、上面からの投影で見るとF20あたりと実際には大差なかったりします。直線命で速度を上げれば浮くには浮きそうですが、旋回とな
るとちょっと怪しいかもしれません。
下反角の機体の視認性の悪さはフッケバインで実証済み(ノ ̄∞ ̄)ノ 主翼を見ないようにしないと錯覚起こします。
こういう部分はもっと大きなクラスの機体の方が圧倒的に飛ばしやすくなります。
肝心なチェック
いつも使ってるランチ台に乗せてエルロンとの干渉は無し。
天気を見て塗装をします。米軍仕様ならオラライトのクロームシルバー仕上げで済みますが、航空自衛隊仕様だと主翼は意外にも白(204航空隊だと)だったりし
ます。
天気が良かったため、仕事の合間に一気に塗装完了。オラカバの上にのる塗料でいろいろ考えてましたが、特殊なプライマーも必要無くここまで仕上がりました。
熊本の極楽とんぼさんに日曜大工用缶スプレーで使える物があるとお聞きしましたが、今回は試しに田宮のポリカーボネード用スプレーを吹いてみた所マスキング
テープを貼っては剥がしを繰り返しても塗膜は剥がれる様子はありませんでした。
という事で、転がっていたポリカーボネード用の白を軽く吹いて(白フィルムの上ですからグレーの方が正解でしたけど)乾燥後は普通に田宮カラーのスプレーで色
がのります。
胴体が銀色ですので、先にポリカ用シルバーで塗って主翼だけ白を吹けば下地を隠せた様にも思えます。デカール貼った後でクリア吹くならその方が良さそうです。
オラカバ仕上げの機体にウレタンクリアのコートは普通にできますから、まだ組み合わせはありそうです。
アルミシルバーを吹くと意外に生地の仕上げのボロが目立ってしまいました。これくらい離れればわかりませんです。
ダクトファンの実験
以前からEDF40にフェイガオなどの社外モーターを使う場合、シャフトとファンが滑って抜けてしまう事がありました。
新品のファンを使い(50RLCモーターなどに最初から付いているものを抜いて使うと穴が少し緩くなっていたり、抜き取り時に芯ぶれをおこしたりファンを痛め
ます)念入りにシャフトを脱脂し高粘度瞬間と低粘度瞬間を使い分けて接着すればまず大丈夫なのですが、今回ハブの振れも気になり金属ハブを作ってみました。
ファンの裏側のシャフトが入るボス部分を削り落とします。ファンのハブ?の内側にきっちりはまり、後の縁で回転面の精度を維持しようという魂胆です。
CD−ROMモーターを使ったA4ではこういうハブを以前から作って飛ばしていますが、4万回転近く回ってもファンの振れは皆無になります。
こまめにバランス取りをすることも有効ですが、シャフトへの脱着を繰り返す間に変形が無いとも言えません。このファンのブレードは非常に薄く、樹脂もほぼ均一
に流れていますので、ブレードのバランスというより、芯ぶれによるバランス狂いの方が気になっていました。
シャフトへの固定は当初2ミリのイモネジによる方法を考えていましたが、対向で2個使わないとバランス崩れますし、微小なイモネジにロックタイトを使うのもリ
スクがあります。これでイモネジが緩んで抜けたら元も子もないので永久固着のロックタイトでの固定を選びました。
ファンの内側にしっくりはまるサイズにハブの外径を落とし、耳を作ってファンの後縁で面精度を出します。シャフト穴は1.2ミリのドリルを貫通させ後に
1.48ミリのリーマーで仕上げます。
1.4ミリのドリルで先に通してしまうと穴径が大きくなりすぎました。
これで指でしっかり押さえて圧入できる程度の穴が仕上がります。
できたパーツをしっかり脱脂し、モーターシャフトも脱脂したら永久固着のロックタイトを極少量だけ両面に着け真っ直ぐ押し込みます。
ハブが固定できたら長時間硬化の瞬間?(OKのETとか)をほんのわずか両面に塗り広げ、しっかり押し込みます。
これでファンのすっぽ抜けが解決できると嬉しいですが、RC-Groups見てもあちこちでファンの抜けは起きてるのでこういうパーツが市販されるといいのか
もしれないですね。
ダクトはこの場所にタッピングビス4カ所止めでマウントします。今回はESCもダクト横に置き、バッテリーへのケーブルを延長しました。効率は落ちますが仕方
ないです。受信機から離せる、ダクト横で温度が上がりにくいというメリットもあります。
ダクト後部のガイドはいつものようにOHPシートを丸めて両面テープ貼り。出口で内径38ミリ程度まで気持ちだけ絞っています。スラストラインは胴体基準線に
対して迎角分だけアップ。
アルミ製ハブはそこそこの成果が出たようで、テストランでクリアな心地よい音を出してくれました。これで問題なければEDF40にモーター換装の場合の一つの
方法として無難な手段となります。
推力は測ってませんが(静止で計測しても目安にしかなりませんので)カタパルト上で全開にすると前に進んでる程度(このクラスで普通でしょう)は出てます。
サーボは普通に搭載してます。テトラのヒンジピンのタッピングビスがこのサーボを止めるのにけっこう重宝します。
リンケージロッドにQRPのステンレス線を使ったためいつものような半田付けができず、(仕方なく)テトラのロッドストッパーを使ってます。錆びないメリット
はありますが、エレベーターの基本設定は実際に飛ばして調整する必要があります。
ホーンの設定はやや小さめ。D/R100%でノーマル舵角程度になるよう設定し、大舵角は120%くらいで合わせる(大きい方を100にしてノーマルを80と
かにしない)方法をとっています。
動翼側のホーンはけっこう大きめに作ってありますので、ロッドへのストレスは少なくて済みます。
サーボベッドの手前側に受信機を搭載する予定でしたが、コネクターが干渉するため、ベッドを少し削り込んでなんとか納めています。
この搭載位置でバッテリーも初期の設定位置に置いて、重心位置はほぼ合いました。
モーター・バッテリー変更
Feigao5800で飛ぶのはわかりましたが、飛ぶのがわかると欲が出るものでもう少しパワーが出ないかとあれこれ考えていました。
市販品にはFeigaoのさらにKv値の高いものもあるようですが、ロング缶はまだ手に入らず、5800以上の物をインペラの枚数を落としてまで使うメリット
はあまり感じなかったため思案しておりました。
Kv4100のものやメデューサの4000を使い4セルで駆動するという方法もあるのですが、今入手できるハイペリオンの400mahバッテリーは2セルパッ
クにはバランサー端子がありません。パックし直して改造すれば使えなくはないのですが、ESCの対応の問題やレギュレーターの問題を思うと今ひとつ良い手段に
思えませんでした。
へろへろ40が初期にCD-ROM(今考えると簡素な作り方ですが)でシビアな性格ながら絶叫で圧倒的なパワーをたまに出していたのをビデオで見て思い出し、
真面目に6極モーターを作り直してみました。
この角度だと何も見えませんが、ステーターの前にスピンナー形状の整流カバーを付けています。ローターはビニールハウス用ジョイントからの削りだしリングとア
ルミのハブですが、今回は手持ちの機材で60度の割り出しがなんとか可能となり、磁石の位置は正確に6等分されました。ベアリング支持部分も内径が割と正確に
加工でき、芯ぶれはほとんどありません。
モーター単体で回してみると非常にクリアな回転音で振動もわずかなのですが、機体に搭載すると固有の駆動音が反響し、中速ではちょっと余分な音が出ます。
0.4ミリのポリウレタン線を17ターンでデルタ結線しています。是の仕様でピーク11A程度となり静止推力はFeigao5800の時より10から15グラ
ム増加しています。
静止状態での測定で、インテークでは相当な吸気速度となっているため、実際の飛行時の目安とはなりませんが、従来のユニットを超えるにはこの方法が現実的で
す。
わずか40ミリのダクトの中に25ミリのローターが居座っているのはなんとも非効率ではありますが、仕方ありません。
コントローラーは軽量を優先しサンダーバード18、デュアルスカイの600mahでそこそこの状態でしたが、モーターが重くなったため重心位置が下がってしま
いました。
バッテリー位置の変更だけでは少し厳しかったため、手持ちのハイペリオン800mahバッテリーを載せてみると丁度良い具合の重心となりました。
という事で、機体重量は増えますが、飛行速度を上げる事を最優先とし、CD-ROMとハイペリオン800の組み合わせでテストすることにしました。
受信機は双葉のPCMを使っていましたが、ノイズへの耐性(動作の正確さという意味ではなく)を優先し、A-4で使っていたBergの4chに変更しました。
バッテリーの放電能力に合わせてターン数はもう少し減らしても良さそうです。モーターももう少し軽量化できそうですが、フライトテストをしながら探っていこう
と思います。
2007/07/03
モーターのターン数を15ターンに変更しました。フルパワーで14A程度流れ、静止状態で170gちょっとの推力が出てくれました。Feigao5800での
静止推力が125グラム程度でしたので、速度は向上し風にも強くなってくれていると思います。
2007/07/04
兵庫のモデルショップBEEさんのご厚意で久しぶりに笠岡で飛ばさせていただきました。風がそこそこ吹いてましたが、CD−ROM化とハイペリオン800バッ
テリー変更による重量増加のデメリットは微塵もなく、快音で飛んでくれました。
推力も上がっていますが、流速も上がってくれましたので飛行速度はかなり上がってます。急旋回での沈み込みが今まではちょっと厳しかったのですがパワーで補え
る様になってくれ、速度向上の影響か水平飛行時のエレベータートリムも適正範囲になってくれました。頭上げが小さくなった分より速度も上がります。
まだまだ真上に上がる様なパワーではありませんが、通常のフライトには何の不安も無くなりました。
ひょっとして前回の不調は主翼のわずかな捻れ(両翼にわずかにねじり上げが入ってしまってます。初回テストと今回は前日にチェックし修正してましたが5月はさ
ぼってました)だったのかもしれません。
旋回中にエルロンを抜くと水平に戻ろうとする癖はやはり感じます。機体形状からすると意外なのですが、大きな垂直尾翼の影響でこの下反角と下部フィンがついて
いてもロール軸の自律安定はかなり強い機体です。
男のフルパワー14Aであります(⌒∞⌒) パワーには余裕が出ましたが、バッテリー変更のおかげで遠慮無くフルパワーにできます。
滑走路脇の草地にアプローチ中(たぶん)
以前の設定より着陸でアプローチする時の機首上げが小さくて済むようになりました。(速度は上がってます)重量は以前より増加しているのですが、こういった部
分はかなり改善されてきました。
この画像は当日の飛行会の主催者であるmomoさんに頂きました。こんな小さなのをしっかり撮影して下さり有難うございます。
2007/08/16
熊本のKANAMEさん主催の「第5回九州のんびり飛行会」に参加することができ、1パックほど飛ばしてきました。笠岡でのテストからエレベーターの中立位置
を再調整し後はそのままの状態(主翼のねじれは大丈夫でした)
テンション1.7キロほどでのランチでしたが、特に癖も無く真っ直ぐ加速でき飛行はほぼ問題無くなった様です。
Feigao5800の頃より自重も増えているのですが、飛行に悪影響は無く、むしろ翼面荷重が増えた事で速度の落ちが減った様に感じられます。水平速度の増
加によって水平飛行時の機首上げも少なくなっていますし、着陸速度も多少上がっているのですがエレベーターの効きが確保できたままアプローチできるため(パ
ワーは30%以上かけています。オフでの進入はちょっと危険なようです)接地前の機首上げも、以前の様にD/Rで舵角を増やしてという必要は無くなりました。
まだループは怖いのですが、ロールは問題ありません。ロール軸の復元力は見た目と違ってかなり強いのですが、操舵の違和感は無くエルロンを戻せばそのまま真っ
直ぐすっ飛んでくれます。
真っ直ぐ命のセンチュリーシリーズらしい飛びではありますが、パワーが増えたお陰で急旋回での巻き込みも減ってきました。
バッテリーの放電能力から見れば、もう少しパワー出せるのですが、安定性を重視すればこのあたりが無難な様です。
着陸は草地の滑走路であれば接地寸前のコントロール性が向上してくれたおかげでほとんど問題は無くなりました。
2007/09/01
熊本のTOKUさんにのんびり飛行会でのフライトを撮影していただきました。TOKUさんありがとうございます。
CD−ROMモーター換装後のフラ
イト (5MB)
Feigao5800から比べると少し速度が上がってます。重量の変化は飛行にそれほど影響は無かったようです。
2007/09/05
機体の作り方を教わったO先輩はもう亡くなられました。大型のスケール機から手のひらサイズの小型機まで名人芸に近い細工を淡々とこなすモデラーの方で
した。
今なら40ミリの市販ユニットでもっと推力出るものありますから、CD-ROMモーターで苦労する必要は全く無いのですが、この当時、巻き線散々テスト
し、ローターも鉄パイプ削って作ったりでのいろいろな実験結果は、現在某F3C開発の親分の元で決して無駄にはなっていません。