工房しろくま


小型電動飛行機の部屋


F9Fパンサー EDF40

ダクト:GWS EDF40
モーター:Feigao 5800
バッテリー:Thunderpower 730mah 3cell GEN2
受信機:双葉 R146ip 6ch PCM
サーボ:Waypoint 034*2 GWS PICO-STD*1
重量:247グラム
スケール: 1/20



EDF50のスカイホークも調整や設定がだいぶ煮詰まり、軽アクロも極度の緊張無くこなせるようになりました。そうなると人間欲が出るものでEDF40で何か作れないかといろいろ実機の資料を集めていました。スカイレイも面白そうでしたが、以前に外国の電動誌で見たグラス製の480クラス?のパンサーが広大な芝生の飛行場で250キロ超える飛びをしている記事がありました。
胴体形状がけっこうややこしい機体ですが、後部胴体の上半分から分離できる構造でした。(クーガーだったのかも)
市販の機体でもアエロナウトやRBCにパンサーはあるのですがミディファンを使うクラスの物でちょっと手が出にくいです。(このクラスで主翼固定となると車の中でけっこうかさばります)

で・・・ 主翼付け根に吸気口を付けた知人のEDF機を見たりしている間になんとかなるんじゃなかろうかと図面引いて製作開始しました。

スカイホークと同じ1/20スケールとなりました。EDF50も搭載可能ですが、吸気面積が少ないことと50から70年代のジェット機は現在の機体と比べ排気口も小さくEDF50を使うためには相当なデフォルメが必要です。EDF40なら気持ち拡大するだけでなんとかなるのではという事でEDF40にFeigao5800の無難な組み合わせで設定しました。
これでも実機のテール回りのラインからは相当にかけ離れてますが、この時代の機体はダクテッドファンではリアルスケールではちょっと厳しいものがあります。

スカイホークでバルサ90度ずらし積層板にカーボンキュアシートで補強した胴枠を一部に使っていますが外板のテンションでこれでも歪む事があるため強度の必要な胴枠は1ミリ航空ベニヤとして可能な限りの肉抜きで対処しました。
(こういうマイクロ機のベニヤは厳禁という考え方もありますが、バルサで厚い材料を使い瞬間を吸わせてしまうとそれほど軽くはならない事もあります)

EDF40を内装したとして極端な後退翼でもデルタでもないため、250グラムくらいまでで上がってくれたら普通には飛ぶんじゃなかろうかという目論見です。


製作中
 胴枠切り出し
恥ずかしながら部屋を片づけて久しぶりに作業机の上で作ってます。A3方眼紙へ原寸図を書き、屋台の型抜きみたいな作業が続きます。


メカプレートとなる1.5ミリバルサを基準に前部胴枠を組み縦通材を通して後をつなぎます。

吸気ダクト完成
ペーパークラフトで使うエプソンのPMマット紙を使いました。吸気口面積はEDF40の内径面積より気持ち大きくなっています。断面積変化無しにガイドというわけにはいきません。


後部胴枠を組み垂直尾翼リブ(水平尾翼位置)まで進みます。


三宅さん(空野さん)方式よりさらに軽い大久保さん(どちらも広島在住の方)に教えてもらった普通の甲板貼りよりちょっと正確に作れる工法でプランクします。垂直尾翼根本のラインは再現しにくいところですがちょっと頑張りました。10ミリ幅1ミリバルサを使います。
この状態から光が透けて見えるぎりぎりまで成形していき要所は低粘度瞬間浸透で補強します。
下面縦通材のみカーボンキュアシートで補強しスキッド取り付けの補強にします。
こういう構造なのでエルロンは2サーボ仕様となります。
外板が貼れたら強度に問題が無い範囲で胴枠や補強材をどんどん落としていきます。

2005/07/04でここまで。机の上で作れるのは楽です。


力を入れすぎないように根気よくサンディングします。根気根気・・・


サイドポンツーン?両端のリブを接着。胴枠が捻れて無かった事を確認し一安心。
プランク材のラインをケント紙でガイドを作り胴体に鉛筆でマーキングしておきます。これに合わせてプランク材を調整し貼ります。


なんとなく雰囲気出てきたような気がします。EDF40で大丈夫なんだろか?
テールモーメントけっこう短いです。13%位の準対称薄翼を使いますので速度が出てくれれば120グラム程度の推力が出ていればそこそこ飛んでくれそうな気がします。
ダクト位置に掃除機の先を突っ込んで吸気音を聞いてみたりして一段落。
ノーズコーン・キャノピーハッチ・ダクトハッチ等ができれば胴体は終了。
主翼はけっこう小さい物になります。
フルエルロンで作るなら根本の張り出し部にサーボを納められますが翼端エルロンにしたいところです。
0.6ミリピアノ線で胴体内部までロッドをとりまわして1サーボという選択もありますが、単純な円弧に配置できないためガタは大きくなりそうです。
信頼できるピコSTD1個にするか4グラムサーボ2個を使うか考え方はいろいろです。
フィルム貼りが面倒そう・・・(ノ ̄∞ ̄)ノ 以前はフィルムの着きも悪くこういう形状の機体だと素直にフルプランクに紙張りしたほうが簡単でした。


垂直尾翼先端のブロックを接着し成形するとなんとなくそれらしくなってきます。
主翼リブの切り出し完了。小さな主翼ですのでたいした作業ではありません。


主翼の作業に入ります。主翼といっても30クラスの飛行機の水平尾翼程度の大きさしかありませんのでそんなにややこしいものではありません。
プランク材はあらかじめサンディングしておいてから加工します。エルロンは2サーボの予定なのでコードの通るガイドをコピー用紙丸めたパイプで作っておきます。
翼はかなり小さいです。ちと不安。
リブはWingproのデータの中から速度の出やすい準対称翼で作りました。翼端側はけっこう厳しい作りになってます。
こういう機体は薄翼は必須になります。


エルロンサーボの取り付け穴を内部で加工し10ミリバルサ板へ主翼を仮固定し上面プランクしました。後縁に3ミリ程度の高さの下駄を履かせ、下面スパーと同じ面に合わすと軽いねじり下げが入ります。
例によって捻れてない状態でゼリー状瞬間で一気に貼ります。
かんざし穴を開けて胴体に仮止めしてみると単体で見たほどは翼は小さくない感じもします。
中国地方は雨が続きじっとりの日々です。


15ミリバルサを重ねブロックを作り、木くずを作って行きます。胴体に接着後はブロック内部の加工はできませんのであらかじめ内側を削っておきますが、ほどほどにしておかないと穴があきます。
適当な形に整形し機首に接着後ラインを合わせながら削っていきます。
ハッチ穴も仕上げなんとなく形が見えてきました。主翼かんざしの調整を詰めて迎角も合わせます。
250グラム程度までには上がりそうな感じになんとかなっています。


10ミリバルサにハッチの胴枠をゼリー状瞬間の点付けで仮接着し、その上へプランクしていきます。治具に固定した状態で大まかに外側をサンディングしておいて治具から外します。
裏側へ補強を入れ胴枠の余分な部分をリューターで落としていきます。プランク材へ無理な力が加わっていない状態で組み合わされているので胴枠を落としていっても変形しないという工法をベテランの方に教えてもらいました。普通は?プランクのバルサシートに素性の言いソフトバルサを使い、湿気を与えて2次曲面や3次曲面に成形してプランクしますが、バルサが元の形に戻ろうとする力が加わるため胴枠の強度である程度抑えなければなりません。
海外のスケールモデラーの方にはスタイロフォームで雄型を作りそれにゴムバンドなどで湿らせたバルサを巻き付け成形され、モノコックの外殻を作る工法もあるようですが、ペリーパン程度ならともかく、胴体すべてとなると相当なレベルの技術が必要になります。


こっち側だけ見るとぴったり合っているようですが・・・ 別個に作った曲面がそう簡単に合うわけもなくスクラップバルサ貼ってはサンディングして合わせてあります。
ダクトハッチとインテークリップとキャノピーの作業が済めば、胴体はほぼ完成です。水平は2ミリバルサの一枚物ですので、ゴールがかすかに見えてきました。


ダクトハッチを作り、インテークのリップを整形し、主翼のかんざしを修正しアライメントを合わせ終えました。(主翼は未接着)
これだけ見ると良い感じです。
翼端燃料タンクをバルサ巻いて作るかスチロール丸棒使うかどうしようか・・・ どうせ着陸で引っかけそうだし・・。


バルサで雄型を作り塩ビをヒートガンで成形します。ピンで仮止めしては引っ張るに難儀し、ちょっと波打ってますがカット後はそれほど目立たなくなりました。
エルロンを作り細く切ったシートヒンジで接続します。


主翼を接着し後縁の成形材を接着し形を整えます。ここがアールになっていないとなんとなく面白くない部分です。
キャノピーはもう少し大きめの方が可愛らしくなりますが、バランスが微妙なところです。削ってる間になんとなく雰囲気出てきました。
水平尾翼は実寸のままでそれほど面積の不足は感じられませんでしたのでほぼ実寸に作りました。エレベーター面積だけ少し大きくしています。翼端のカウンター部は省略。
水平尾翼取り付け穴を加工すればフィルム貼りに入れます。


フィルム貼り完了。トイファクトリーのフェザーコートを使いました。軽量でたるまず使いやすいです。キャノピーは仮止め、計器板とパイロットができたらキャノピーを接着し塗装にかかります。
重量も良い感じです。(手で持っただけですけど)
静止推力だなんだと言わず、ひたすら速度優先(とはいってもそんなには出ませんが)の機体ですのでこれでよいのです。
F-18や16と比べればそんなにテールモーメント短い方では無い様に見えます。
表面を#800の研磨スポンジでざっと研いで脱脂洗浄した後にウレタンバンパー用プライマーを軽く吹きました。後は田宮のスプレーで仕上げます。
胴枠入ってる部分が気持ち角張ってますが・・・ (ノ ̄∞ ̄)ノ気にしない気にしない


機体が一段落したので、ダクトの取り付けフランジを作ります。ガイドになるジグを作りフランジを接着。今回は素直に1ミリ航空ベニヤで作りました。
接着強度はけっこう振動出る事もあったEDF50でテスト済みなので大丈夫でしょう。
あまりフランジを大きくすると胴体に入らなくなるためほどほどのサイズです。
吸気側寄りにカーボンキュアシート補強を入れました。(真円度維持のため)


今回は最初から真面目にパイロット載せました。実機はもっと着座位置低いのですが、コクピットの底を別にするのもなんですのでこれで妥協。


キャノピーのロックは磁石にしようかマジックテープか輪ゴムにしようかと考えましたが、真面目にスプリング式のラッチを作ってやりました。
FRP製の大型ジェット機だとこういう部分がきれいにまとまりますが、ぱちんと閉まると気持ち良いです。


ダクトはこの位置に来ます。RBCのとレイアウトはほぼ同じです。エレベーターサーボはこんなところにいます。
バッテリーを頭に載せて重心合いましたからエレベーターサーボはロッドで引いて機首部に搭載しても良かったです。
ここだけは間違いのないピコスタンダードです。個人的に信頼性が圧倒的に他のサーボと違います。

マーキングは白のカラーデカールをステカ用のデータを作り出力しています。☆マークの赤い部分はデカールの上からプラカラーです。
カラーデカールの表面を予め#800の研磨スポンジで研いでおいてカットし、上から水性クリアの半艶(トップコート)を吹いて仕上げています。
私はプラモデラーではないので、この辺が苦手です。



スキッドはノーズ下面のシルエットが乱れるためピアノ線のフックとベニヤの補強板で細工しました。下面の縦通材だけカーボンキュアシート補強を入れてますが、他は甲板貼りのままですので、透明な保護テープを貼って済ませます。
草地での運用?しかしないのでこのままで済ませます。

満充電ではないバッテリーで試しにモーターを回してみましたが、EDF50にCD-ROMを使ったような絶叫ユニットではありません。
吸気の抵抗がけっこうあるためダクト丸出しの様なパワーは求められませんが、240グラムちょっとで仕上がったので薄翼でもあり、100グラムも推力出ていれば十分飛びそうです。

飛ばさずに天井に飾っておこうかな・・・と テスト前は弱気です。(ノ ̄∞ ̄)ノ



テストフライト

完成した翌日の夕刻にテストに行ってきました。落としたくはないけれどテストしないことには始まりません。
昼過ぎには風が強かったり他のフライヤーが多かったりで中断。模型店に寄ってあれこれ話してる間に受信機をPCMに入れ替える事になり、夏休みに模型屋さんの前でプラモデル作ってる子供(今はいないかも)の用にお店で受信機変更。
夕刻風もすこし弱くなったようでテストフライトに向かいました。
スカイホークで使っているランチ台で1キロのテンションでセットします。弱めのテンションから始めたいところですが、このサイズではあまりゆっくり引いても面白い事にはならず、エレベータートリムを事前に少しアップにし、リリースしました。
翼面積がけっこう小さい事で心配していましたが、中速のパワーで割とゆったり飛んでいます。スカイホークの様な急旋回での巻き込みやスリリングな挙動はほとんど無く、ごく普通の速度で安定性も問題ありませんでした。けっこうなねじり下げを入れている効果か急旋回での失速も起こさず、速度が足らない場合に勝手に水平に戻る(エルロンの差動をもう少し増やす方が良いのかもしれませんが)程度で視認性も良く、パソコン画面のマウスポインターの様な矢印がきりきり動くスカイホークよりはるかに扱いやすい機体の様です。
着陸アプローチも問題なく、通常のスポーツ機の様に誘導できました。
(とはいってもこのサイズの機体ですので、操縦性は相当に神経質です。)

製作時の垂直尾翼の少しのねじれが気になってましたが、エルロントリムは1ステップ程度の補正、エレベーターは結局ほぼニュートラルで問題無かった様です。重心位置は前縁から25%程度にしています。

この機体は、吸気口と排気口をEDF40に合わせて若干形状を変えていますが、翼長で片側5ミリ程度拡大(主に吸気口まわり)しただけで水平尾翼はほぼ実寸?です。エレベーターのヒンジラインは少し前にしていますが、テールモーメントが短めの割に安定性には何も問題ありませんでした。
レシプロ機と併用の時代の艦上ジェット戦闘機ですので、電子的な安定補助装置もそれほど無く、機体そのものの安定性がしっかりしているのかもしれません。まだ超音速ジェットという時代でもないので機体の素性は模型機としても良いものがありそうです。
ロール軸の座りはスカイホークの比ではありません。
あれはあれで「スクーター」「ホットロッド」を彷彿させて楽しいですけど、それぞれの時代の特性が感じられます。

一安心です。(⌒∞⌒)
少し大きめのアルファモデルのEDF機も良く飛びますが、木製機のかっちりした操縦感覚はやはり良いです。

2005/07/24

阿蘇でのフライト WMVファイル 1.76MB
撮影 KANAMEさん(いつもありがとうございます)
場所 阿蘇農道飛行場

コネクター変更
サンダーパワーのリチウムポリマーが第3世代となり放電能力が向上しました。A-4スカイホークではバーストで12A程度まで730mahパックで使いますので今まで使っていたJSTのBECタイプコネクターでは少し心配になってきました。このためこのクラスのバッテリーをすべて2mmのバナナプラグに変更しました。
コネクターでのロスは以前から気にしていたのですが、全部換えるのもなんだし・・・でそのまま使っていたのですが、パワーが少し上がった様に感じます。
気圧の低い場所では突っ込ませてもループが少ししんどかったのですが、問題なくなりました。
笠岡でフライトの機会がありましたが、機体の癖にも少し慣れ背面やスプリットSも問題無くできるようになりました。主翼のねじり下げをかなり多めに作っていますので背面での癖が少し心配でしたが悪影響はほとんど無いようです。失速気味になると勝手に復帰する癖は残っていますが、速度低下に注意していれば問題はありません。
翼端の燃料タンクがありますのでねじり下げを与えなくても失速防止効果は多少あると思われます。

風が穏やかな状態でのフライトでは4サイクル52クラスのゆったり飛ぶ機体をパスできる程度の速度は出ている様です。
インテークのスポンソン部分から先の主翼面積はあまり大きいとは言えませんが、飛行中にはスポンソン部や胴体の揚力も加わっている感じで浮きも悪くありません。

着陸で滑走路がふさがっていたため上空待機を余分にしていたところオートカットに入りましたが着陸誘導には何の問題もなく、02クラスのスポーツ機がエンジン止まって帰ってくる程度に伸びます。翼厚が薄くペラが露出していない影響もあるかもしれませんね。

車輪付けたら滑走で離陸できそうな感じですが、引き込み脚でカバーも連動して・・だとこのサイズでは私には難しいです。
やってる方もいらっしゃいますのでチャレンジしたいですね。

2005/11/12