工房しろくま


小型電動飛行機の部屋



零戦21型 (ユニオン)

 モーター:ユニオンマイクロ機用コアレス > GWS50XCダイレクト
 バッテリー:350mahニッケル水素7セル (ユニオン製)
 受信機:双葉マイクロ R114F
 サーボ: GWS PICOstd *2
 アンプ:RCライン 5A
 重量:170グラム


ユニオンのパークプレーンシリーズの機体です。パールハーバー仕様とありますが、???です。
セスナの電動化がけっこう面白く、エルロン機がないかとムスタングのFF機を改装しようと考えていたらこちらが発売になり入手しました。
スケール感云々は・・ですが、気軽に飛ばして遊ぶ機体としては面白い様です。

ちなみに
 エアリカの52型スケールと並ぶ
 平面型はこれだけ違います (ずいぶんちがいますね・・)
スケールモデルとラジコンのスポーツ機くらいの違いがあります。 しかし、スポーツ機として楽しむならこれもお手軽です。
あ・・ だからパールハーバー仕様(みたいな)零戦か・・・。
ただしキャノピーはプラモデル並の精度がある物でここだけはけっこうしっかりしてます。


製作は説明書の通りです。リンケージの段階でエレベーターホーンだけ1.5ミリの航空ベニヤから少し大きめの物に換えてあります。
専用の水色のリンケージパーツもちゃちそうなのですがこのクラスには十分みたいですね。
エルロンホーンなどはキットに入っている1ミリのピアノ線から図面を見て作りますが、昔02クラスをせっせと作っていた頃のように楽しい作業です。
エルロンホーンは主翼上面にプラ板で押さえつけるようになっていますが、主翼の厚みに注意してボールペンや鉄筆などで溝を掘ってゆけばホーンのピアノ線が埋まる様に加工できます。(ピアノ線にグリスを塗っておいてエポキシで埋め込む方法もありますが、このサイズでは動きが少し重くなり舵残りが出るかもしれません。

主翼はタッピングビスで止めるようになっていますが、受け側の裏面に2ミリのナットを瞬間で固定し、ビスで止めるようにしました。
飛ばす毎に取り外す部分なのでこちらの方が良いかもしれません。 外見を気にしなければコネクターを機外に出す事もできます。

私は7セルのニッケル水素で作りました。バッテリーを防火隔壁いっぱい前に付けるとエレベーターサーボとの間に受信機が収まるスペースができます。
アンプはシュルツの8Aくらいが理想ですが、RCラインの物を使いました。

色は変な青でしたので、動翼のヒンジテープなどを加工した後に日本海軍機の明灰色にスプレーします。


追加小細工

初回のフライトで、グリス塗布を忘れキーキーと泣きながら飛んでしまいました。グリスも良いのですがホコリを集めてしまうためベアリングが入らないかとばらしていましたら・・

右側の画像はギヤダウンユニットの後部です。後部軸受けには な ぜ か 内径2ミリ外径5ミリの樹脂軸受けが付いていました。
最初これに気づかずせっせと穴を広げていたのですが、外れたあとはそのまま内径2ミリ外径5ミリのボールベアリングが入ります。

普通はこれだけの変更で問題ないでしょう。前端の穴が摩滅する頃にはモーターも交換となりますのでユニット交換になります。
が・・ ベアリングを入れておきました。穴を徐々に拡大し、ベアリングの厚さだけ5ミリの穴を掘ります。樹脂が柔軟性がありますので5ミリで開ければ丁度ベアリングがはまる穴ができます。
ギヤの面にはベアリングのインナーと接触させるシムを入れておきました。
メンテナンスは楽になりますので、ベアリングがあれば加工した方が良いですね。

カウリングは一応位置決めのノックピンを爪楊枝で作っておきます。


フライト
安直製作でしたので、飛ばしに行った現場でアンプの起動がわからず格闘。(テストはしっかりせねば)
ふわふわ飛ぶ物を思っていたのですが、手を放れた機体は一気に上昇。慌ててエレベータートリムを合わせます。(防火隔壁が捻れダウンスラストが少なかった?)
エルロンは若干のエキスポを入れてありますが、弱々しい構造の割にレスポンスは良く、ニュートラル精度も問題ありません。
7セルだとちょっとオーバーパワー?かもしれません。(7セルでの使用はお勧め致しません 確実にモーターが過熱し壊れます
ループも普通にできます。ロールは背面でかなり高度下がりますが、問題ありません。(あまり低い高度ではしない方が良いでしょう)
Gがかかったときに翼がしなっているのがわかりますが、6セルならば問題無いと思います。
非常に元気が良いです。 首が長い、胴体細い、というのがこの運動性のためであるなら納得できます。

300mahを最後まで飛ばす気力はありませんので、途中で着陸。伸び始めた草に真っ直ぐ降りてきます。パワーを入れた時の機首上げの癖の割に降下でもそのままスムーズに降りてきますので、トリムはこれでよいのかもしれません。
最後にちょっと機首上げで胴体着陸。 無傷で回収。

急激な運動で翼がしなるのがちょっと気になりますが、それを気を付けてやれば風や乱流にも強く(制御できる)飛ばしやすい機体です。
長めの翼が21型に見えてくるかもしれません。
飛行中のシルエットはエアリカの52型の方が圧倒的にきれいですが、お気軽予備機としては楽しい機体です。


裏技?
サワイ商店さん情報です。
この機体7セル搭載で十分元気良いのですが、更にパワフルな組み合わせがあるようです。
モーターをGWSの50XCに載せ替え(ダイレクト)くらふとるうむのプロペラアダプターを使い、GWSのもう一回り大きいペラに交換しゴムスピンナーを使います。
これを8セルで飛ばすと無茶苦茶元気なんだそうです。
これ以上パワフルにしてどうするんじゃい? と思いますが・・ (主翼折れてもしらんで〜)
そういう方法もあります。ただしモーターはそれなりに耐久性落ちるでしょう。(後日談>大丈夫みたいです)

主翼裏にカーボンテープを貼るなり、2ミリのカーボンロッドを主桁として埋め込むなりした方が良いですね。
ラジコン技術に紹介されていたこれの原型のフリーの電動零戦の改造機がこういう組み合わせでした。
そこまでやるなら、主翼を裏打ちしてフラットボトムにするか木製主翼にした方が良いかもしれません。

ノーマルで作ってみんなでエアレーサー風塗装にしてパイロンレースというのも面白そうです。

2002/05/11


モーターについて
純正モーターを7セルで飛ばしていると、発熱によりモーターが回らなくなる事がありました。
2002年の静岡ホビーショーのユニオンブースでこの件について聞いてみると、モーターの特性としてヒートしやすいという面があり、現在対策中との話を聞きました。

その後、他のユーザーさんから6セルで飛ばしていても10フライト(最短)でモーターが劣化するという話を聞き、GWSの50XCへの交換をしてみました。

あくまでも1ユーザーの勝手な小細工なので、これによってモーターが壊れても一切保証は致しませんのでご注意下さい。

 GWS50SXCに交換
ピニオンギヤはニッパーなどではさんで引き抜けば極端に力を加えなくても抜き取れます。取り付けは手で押し込む程度の力でよいです。
(それ以上力を加えると構造上破損するおそれがあります。
モーターの取り付けネジの間隔がほんの少し違う(GWSの方が広い)ので、穴を合わせておきます。
ギヤダウンユニット前側のベアリングは周囲を木綿糸で巻き瞬間接着剤を染み込ませて補強にします。

純正はコアレスの5極だったのですが、これは3極?の様でちょっと感じは違います。念のためヒートシンクを付けました。

 分解した純正モーター
ローターの手前側はコミュテーター部です。後部軸受けはコイルの内側になります。このためピニオンなどの圧入には注意が必要です。
分解時に判明したのですが、ローターの外側にコイルの膨らみ防止?のために粘着テープが巻いてあります。(画像では除去)
このテープの粘着剤が高温で解けテープが緩んでモーター缶に接触して回転抵抗となっていたようです。
本来もっと低負荷低電圧での使用を考えられたモーターなので仕方ない部分です。

可能ならば、このテープ部分を取り去り、エポキシ樹脂で固めてやれば純正モーターの熱対策は可能と思われます。
バランスが狂っても面白くない部分ですが、対策も不可能ではないと思います。

その後
純正ユニットへ50XCを付けて回してみましたが、純正モーターの様に回転は上がりません。(原因は後述
分解した純正モーターのローターへ30分エポキシを塗り固めたものに載せ替えテスト。
載せ替えの最中に、構造的にピニオンを後ろから押して圧入してはいけない事が判明。
ピニオンを加熱して膨張させすみやかに押し込む方法が安全でしょう。(あまり一般的ではありませんね)
ブラシ部も非常に繊細な構造なので分解はお勧め致しません。
エポキシ固めローターでは過熱により回りが重くなるという現象は起きませんでしたが、ローター内側(後部)のメタルの潤滑の問題は解決しません。
(コアレスでない方がこういう事は有利ですね)
結局 純正モーターを過熱させないように6セルで使うというのが正解なのかもしれません。 ユニオンの広告にも注意書きがありました。
後に50XCを分解したところ、バックプレートの端子の半田付けの際、コミュテーターにも熱が伝わりノイズキラー抵抗?のリングが脱落していました。
回転の不足はモーターの破損(こわした)によるものでした。
(中身は3極の通常のモーターでした)純正の配線コードをそのまま使う方が無難と思われます。
50XCを適切に扱えば、ユニオンのリダクションユニットで換装が可能かもしれません。

加工ついでに50XCダイレクトでのテストを兼ねて、モーターマウントを作りました。少しこの仕様で飛ばしてみます。

材料は1.5ミリの航空ベニヤ、ダウンスラストは純正と同じ(防火壁がずれているためちょっとオフセット増やしてます)サイドスラストは純正ユニットよりちょっと多めにしています。別にFZ63を搭載!ではないのでこれでも強度は過剰です。
細切りベニヤをレールにして、インシュロックで締めて固定。(シャフトのセンターずれのごまかし・・)
くらふとるうむの50XC用プロペラアダプターを使い、1サイズ大きめのGWSのペラをゴムスピンナーを使って装着します。
初回のテストでモーターが不調(熱で壊れてました)だったにも関わらず、素直な飛び。大径ペラを回すよりいいかもしれません。
モーターを交換しましたので、次回はベストな状態でテストできると思います。
7セル以上のバッテリーを使う場合はダイレクトドライブにした方が良いでしょう。
2002/06/13

テストフライト
スクーターのトランクに忍ばせ、送信機はリュックに背負います。いつもの河川敷。風は微風時々強め。
家で充電しておいたので、電源コネクターを接続し起動操作、主翼を取り付けて準備完了。スイッチがあればこのへんは便利です。
トリムはギヤダウンユニット時のままですが、手を放れた機体はぐんぐん上って行きます。トリムで抑えますが速度が出ると若干の頭上げの癖があるようです。元がFF機なのでこれは仕方ないでしょう。ダイレクトの方が速度は延びる感じです。旋回などで負荷がかかった時はギヤダウン大径ペラの方がいいようですが、操縦性はこちらの方が素直です。エルロンのトリムはほぼ合っていました。
落ち着いてきたので、運動性能テスト、ループは水平からの進入で2回連続が可能でした。ロールはやはり背面になってダウンを当てた頃からちょっと癖がありますが問題なし。45度上昇から半ロールで引き起こしてもきれいな軌跡を描きます。運動性はかなり良いと感じました。何故かギヤダウン仕様の時の主翼の負荷によるねじれが感じられません。ペラの径は小さいのですが引きは十分にあるようです。
高速のローパスはダウンを当て若干機首下げで通過します。シルエットはかなりきれいでした。
約5分のフライトで若干パワーが落ちてきた様子で回収。着陸前でもそれほどピッチ軸の癖は無く、向かい風でフレアをかけ微速で接地。無事回収。

飛行後ややモーターが発熱していましたが(指で触れるレベルの熱さ)特に問題は無いようです。零戦の場合カウリング前面を空けられますし、カウルフラップの所へ排熱口を2カ所あけてあります。他のモデルより冷却は有利かもしれません。

50XCのダイレクトドライブは既に定評ある組み合わせですが、確かに良い感触で楽しいフライトでした。

このモーターを純正ギヤダウンユニットへ組み込むのもテストしてみると面白いかもしれません。
また、エルロンを何らかの方法で補強してやると、ロールレートがもう少し上がる様に感じました。

純正モーターが熱でトラブルを起こしたり破損した場合には、代換手段としては良いかもしれません。

2002/06/17


その後
ダイレクトドライブに変更し、飛びは非常に良くなりました。ずっと7セルで飛ばしていますがこれによるトラブルは無し。
星形空冷エンジンを納めるカウリングがありますので、モーターの冷却には有利なのでしょう。(集合排気管仕様の排気口あたりに抜き穴を開けてあります)
充電し、バッテリーのコネクターを繋ぎ起動、エルロンのコネクターを挿し主翼を固定。(この辺はスイッチ付けるなりした方が格好良いですね)
ひょいと投げればそのまま一気に上昇して行きます。音はギヤダウンより遙かに静か(飛んでいても気付かない)おもちゃの扇風機の羽根みたいなペラですが、しっかり引いてくれます。2ループは油断すると2回目の頂上で慌てますが、危なっかしいロールや急旋回など、思うように飛び回ります。
(米軍が持ち運び式の電動無尾翼無人偵察機を作ったのが良くわかります・・・ ホンマカ・・) ほんとに無音飛行。

ニッケル水素350mah(くらい)で5分飛んでもパワーは落ちません。延々と飛ばす機体ではありませんので、適当に降ろしますが、地表近くでのフレアもしっかり効き、地面が草地なら何も問題なくふわりと降りてくれます。
このサイズ、舗装路やグラウンドみたいな場所で降ろすのでなければ、脚が無い方が壊れません。

エアリカの零戦の様な異様な実感はありませんが、頭上を通過するシルエットは零戦。パークフライヤーとしては高速?な方ですがこれくらいの運動性があった方が天候の影響を受けにくい様です。横風が強いとテール振られますが、これはご愛敬。
最初から作るなら、主翼の主桁位置に1ミリのカーボンロッドを埋め込んでやるともっと丈夫になるでしょう。
そのままでは主翼がちょっと弱いような気もしますが、主翼に負担をかけない飛ばし方でカバーする事もできます。

墜ちても精神的ダメージが低いですし、めったな事では墜ちませんし壊れません。大破しない限りエポキシで即刻修復。
大破したらさらに良く飛ぶ改良版をまた作れば良いのです。
もっとも、このサイズでこの重量のバルサ製のしっかりした機体なら、かなり面白いでしょうね。

遊び道具としてはなかなか良いですよ。

2002/10/07



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