工房しろくま
グライダーの部屋
マルチプレックス FOX
受信機:Berg 4ch
サーボ:タマゾー TS-1002 *2
電源:200mah Li-Po 1セル
重量:72グラム
マルチプレックス社が販売している エラパー製フリーフライトグライダーです。
駄菓子屋にあった、胴体と主翼と水平尾翼がばら売りの手投げ飛行機のちょっと上等なやつです。
海外誌で、この機体へ無線機積んで遊んでいる作例が紹介されていたり、国内でもモーター付きに改造されて遊ばれている例を良く見かけます。
無動力仕様でけっこう手の込んだ改造をされている機体もあり、という事はスロープでけっこう遊べる?という事で模型店に注文。
来たのはビニール袋に入っている子供用のソフトグライダーでした。
しばらくそのままでしたが、気が向いた時に袋を開けてオリジナルの状態で廊下で投げてみると意外に高性能。
ドイツ人はこういう子供が公園で遊ぶような飛行機でも手抜きはしないのです。
オリジナルの重心位置を記録し、無線機搭載にかかりました。
素材はすべてマルチプレックスのエラパーと呼ばれる物です。EPPの親類の様なものですが剛性はあり、瞬間接着剤が普通に使えます。
胴体のキャノピー裏に金属球が入っており、これがけっこう重いため無線機積んでも相殺できそうです。
操舵はラダー・エレベーターとしました。(まずは基本形から)
説明書には胴体後部をねじ曲げて調整するようになっていましたので、最初に胴体底面にカッターで切れ目を入れ、細いカーボンロッドを押し込み瞬間浸透で一つ補強。
日の強い場所で変形させないためです。
水平尾翼も念のため下面に1本ほどカーボンロッドを埋め込みます。
エレベーターも適当なラインでカットし、舵面の前面をVカット。ヒンジはOHPシートをペーパーで荒らしたもの。
グラステープとかは極力使いません。(見た目が嫌だし、後々で汚くなります。)
水平尾翼は胴体を貫通しますので左右のエレベーターはコの字のピアノ線で連結。
エレベーター・ラダーホーンは1ミリ航空ベニヤから切り出し、瞬間で固定。
リンケージロッドは、外径1.5ミリの塩ビパイプの中に0.6ミリのピアノ線を通します。
胴体側面にカッターで切れ目を入れパイプを埋め込み低粘度瞬間浸透。下面のカーボンロッドとリンケージのアウター、合計3本ほど骨が入ります。
ロッドの取り回しに無理が無いラインで作業するのが良い飛びになります。
グラステープ貼りまくり、サーボ丸出しでも気楽に遊ぶには良さそうですが、そのへんは加工する人の考え方次第です。
楽しい遊び道具になりそうなら遠慮無く手は入れます。
ラダーは水平尾翼を下から上に貫通させ、少し斜めにロッドを出しています。(あまりおもしろくないのですが構造上仕方なし)
舵面はもう少し大きくても面白そうです。
ここも舵面前端をVカットし、OHPシートのヒンジ。
サーボは適当な位置にすっぽりはまりこむ穴を加工し押し込み固定。ロッドのラインとサーボホーンの高さはかっちり合わせます。
受信機と電源リポが入る穴を加工し埋め込み。アンテナ線は胴体側面へ出し、これも良く切れるカッターで作った切れ目に押し込み。
キャノピーは内側の余分なところを削り落とし、前面にノックピン、後ろにネオジウム磁石1対で固定。ピンの受けは薄い航空ベニヤ貼っておきます。
テストフライト
オリジナルの重心位置に合わせ(後ろに少し重り)室内で投げてみると、そこそこ普通に飛びます。
九州の飛行会に持って行き、斜面で投げてみるとラダーの効きがいまいち。舵角が少ないせいもありますが、切りすぎると急に巻き込みます。
上反角の不足だろうと言うことで、夜の宴会の後、旅館でもらった竹箸の切れっ端を板に加工し、翼端上反角となるよう主翼上面にカッターで切れ目を入れカンザシ入れて接着。
これで旋回性は多少改善しました。でもまだ風のあるスロープで自由に飛ばせるレベルではありません。
さらに1ミリ航空ベニヤで中央部のカンザシを作り、二段上反角となるよう追加。
公園での手投げで、やっと舵が普通に効くようになりました。
目一杯投げて一周ちょっと飛んでハンドキャッチ。これだけでもけっこう楽しいです。
初期テストで重心位置を少し前に出していたのですが、舵が効く様になると重心はオリジナルの位置で落ち着きました。
主翼には上反角以外の加工はしていません。下面に10ミリ幅で某所より頂いた特殊な極薄グラステープを貼っています。(一般的なグラステープとは似ても似つかない代物)
EPPにもそのまま完全に密着する物ですが、普通は入手できませんので、テープ幅にマスキングしておいてスコッチのプラ用をあらかじめ薄く塗りしっかり乾燥させた上からヒンジテープ貼っても代用できます。
重量がしれてますので、無駄な補強は要りません。
地元スロープでのテスト。
かなり不安でしたが、小さくてもさすがにマルチプレックスです。
こんなの飛ばしていいの というサイズですが微弱な上昇風にもしっかり反応し上がって行きます。ややロール軸に揺れが出ますがこれも愛嬌。
胴体が太いのでそんなに速度は出ませんが、向かい風(最大5m)でもちょっと頭抑えてやれば自由に動けます。
OKのミントほどの性能はありませんが、発泡グライダーでこれだけ飛べば上等でしょう。グライダーとしての基本性能は侮れません。
良い遊び道具が完成しました。(⌒∞⌒)
強風には向きませんが(そんな時にあえてこれを飛ばす事はありません)そこそこの風でも問題なく飛び回ります。着陸で破損する心配も無いしちょっと持って行くには良い機体となりました。
ついでに
もう少し重くしてエルロン・エレベーター仕様(上反角オリジナルのまま)というのもスロープでは面白いかもしれません。
プロペラ付きにするのはもったいないポテンシャル持ってます。
マルチプレックスの他のグライダーも見かけによらずどれもきわめて高性能です。ドイツ人あなどれません。
2009/06/20
Koubou Sirokuma