工房しろくま
京商 電動ダクトファン T-33
97年末に発表になった機体です。電動のダクテッドファン自体は、既に一部のマニアの方には珍しいものでもなく、海外ではごく普通にスケール大会に顔を出している様ですが、一般にはなかなか手の届かない分野でした。
エンジンのダクテッドファンも、知り合いの方に見せてもらったビデオでは、アメリカの愛好者がだまし穴(補助インテーク)の無い完全スケール機を、すさまじい加速力で離陸させていたのを見たことがあります。
2万回転を越えるすさまじい騒音とよたよたの離陸滑走・・ではないのですが・・
やはり一般的ではありませんでした。
海外では、049から10クラスのダクトも販売されているようで、手投げによる初速のカバーでけっこうおもしろそうな記事が海外の模型誌ではよく見られたのですが、日本ではなかなか難しかったのです。
で、やっと販売されたのがこの機体です。
専門誌の記事で紹介されていましたが、けっこう難しそうでもあり、でも嫌いではない・・分野ですので、年明けにキットを入手し、ここまでたどり着きました。
製作ポイント
キャノピーを外すの図
双葉アタック4 AM
サーボ 双葉FP-133*1 FP-143*1
アンプ 双葉MC−114(古井さん池田さんに戴いたトランジスタに交換)
モーターコントロールアンプは、私は双葉のMC-114(540クラス電動飛行機用)を使いました。本来是のアンプは定常で20A程度しか使えず、30A以上を要求するセットの指示では役不足なのですが、NIFTYの古井さん池田さんから、双葉のアンプに使える7A流せるパワートランジスタをご厚意でお送りいただき、これに付け替えて、7A*5石で35A(計算上)使えるアンプができました。(双葉へ修理にだせませんけど)有り難うございました。
本当は、高性能な高周波アンプを使えば良いのですが、オートカットが付いているものが少ないこと、ほぼ常時全開であり中速域のメリットが無いこと、などでこの仕様となりました。(実はこれが大正解でした)
受信機は、電池の出し入れを考えエレベーターサーボの上に貼り付けてあります。背面で墜落しない限り大丈夫なはず。
受信機のスイッチとアンプのスタータースイッチは受信機に貼り付けです。
キャノピーはマジックテープ止めですが、両横のマウント?は純正は3ミリベニヤ2枚重ねとなっていますが、マジックテープの厚みがけっこうありますので、これから作られる方は1枚だけで作られる方が収まりが良くなると思います。
主翼取り付け部からファンを望むの図
モーターは京商のAP29Lとありますが、これはAP29BBとは親戚ではありません。かなり電気を喰います。
型番にだまされて低出力なアンプを使うのはあまりよくありません。
画像がかなり見にくいですが、モーターからの電源コードはダクト内側をはわせカッティングシートでシールしてあります。
無線機室への入り口も別に溝を掘り、横から入れています。(コードがかさばらずかっこよい)
エルロンサーボの延長コネクターは、本来のコード入り口へ溝を掘って埋め込んであります。
モーターには何も手をつけていません。
組立前にファンブレードの前縁後縁のバリ取りと簡単なバランス調整はしました。ファンブレードとケーシングの隙間がけっこうありますので、スペーサーをいれてやるとさらに推力拡大が期待できそうです。
空気の吸気口から尻尾の出口まで、空気の通り道のじゃまとなる突起や角は400番程度のペーパーで落としてあります。
尻尾の出口にバリがありますので、これは必ず成形した方がよいみたいです。
同様に、発泡スチロールの屑だらけになりますが、水平・垂直尾翼、主翼の前縁後縁は、丁寧に成形します。
動翼の部分はヒンジ部をのぞき、私はかみそり鋸を使いました。特に水平尾翼は動きが固いので、ヒンジ部分もOHSシートの表面(中は切ってはいけません)を、薄く切れ目を入れておきました。
動翼の動きが渋いと、このような発泡スチロール機は、ニュートラルが甘くなり飛ばしにくくなります。
胴体は、発泡スチロールの梱包材みたいですが、上下のモナカの張り合わせは発泡スチロール用の接着剤を使い、マスキングテープでしばって一晩放置します。(エポキシより簡単です)
胴体後部下面は、着陸時に絶対擦れますので、白いカッティングシートのテープを貼っておきました。手で持つところ、爪が当たりそうな所も貼っておくと良いかもしれません。
また制作中にちょっとぶつけただけでもへこみますので、爪を立てないようにしないよう気をつけましょう。
フライト・・・
テスト飛行後に気づいたのですが、主翼前縁から40ミリという、かなり前目な重心位置は意図在って設定されたものです。これは要チェックです。
舵角はエルロンエレベーターとも、キット指示より50%ほど大きめ。プロペラの後流がないのでグライダーのような事になるのではという勝手な想像です。
テスト当日(1998/02/17)は、けっこうな風がふいておりました。EPコンセプトで使い慣れている7セルの1700mahパックをいつものBX212で充電します。
専門誌の記事にあれこれ注意事項があり、頭をよぎります。持ちにくい丸胴を片手で持ち、片手には送信機(いつものスタイル)、口でエンコンスティックを全開にし、風に向かって走ります走ります(私足おそいですけど)、そのまま水平に押し出すようにした機体は、前情報を裏切り、そのまま上昇していきました。
室内テストで、カーペットの上を走って行く程度の静止推力はありましたので、それほど不安ではなかった(うそ)ですが、なかなか元気のよい空飛ぶ掃除機です。
離陸直後の速度の乗らない状態ではあまり急激な旋回はしない方が良いみたいです。ガーガーとうなりながらどんどん上昇。トリムのずれも無く、またペラの反動トルクも無視してよい程度。けっこう機速のってくれます。
「飛ぶ」事を確信した後若干のダイブの後、ループ。ペラの後流の期待できないエレベーターですが、あっさり回ります。ロールも何等問題無し。抑える事ができる人は、少し舵角大きめで楽しめそうです。2パック目は、背面も成功。クラークYですのでけっこう上向きになりますが楽勝。インメルマンターンも楽勝。おもしろいですよ。
ただし、急激な旋回の時に、横滑りでインテークの片側が失速するのか急に推力が落ちますのでジェット戦闘機らしい、ゆっくりした(アクロ専用機と比べ)バンクは必要です。また、そのような推力低下の場合は、バンクを戻すダウンを打つという操作が必要です。
280クラスの電動飛行機でパワー不足の時にダウンでごまかせる人は大丈夫なはずです。
*たぶんこれが前目の重心位置の意図だと思います。
電気掃除機のような発泡スチロールの機体ですが、かなり完成度が高いと感じました。サンダーバーズの純正ステッカーでもいいし、銀色のスプレーで塗装してしまうもよし、少しコツは必要かもしれませんが、仲間内で作って編隊飛行も楽しいかもしれません。
舗装された滑走路がある環境なら、脚を付けて地上滑走離陸もおもしろいかもしれません。(ゴムパチンコで初速も)
エアインテークが実機にはほど遠い大きさですが、電動の量産ダクトでこれだけ飛ぶのはすごいと思います。
是のユニットでF−16とかもインテーク拡大でおもしろいかもしれません。第2弾に期待できますね。
1998/02/17
1997-1998 p-bear@ba2.so-net.or.jp