工房しろくま


小型電動飛行機の部屋



パイパーカブ (京商540クラス)




京商のEPカブです。少しおとなしいゆったりした機体をと購入したのですが、純正のギヤユニットを見ている間に永岩さんや坂本さんのHPにあった64ピッチのギヤダウンユニットを思い出し、とりあえず50プロダクトさんのギヤダウンユニットをオンラインで注文し送って頂きました。

左から、自作もの・50プロダクト製・純正ユニット

50プロダクトさんのものは非常に高度な加工がしてあり、使うのがもったいないほどの精度でした。
カブの説明書には京商のSPギヤダウンユニットも使用可能とあったのですが、モーターをバンド締めするとピニオンの歯数を変えた時に出力軸の位置が微妙に変わってしまいあまりおもしろくありません。
50プロダクトさんのものやQRPの400クラス用ユニットは前側のプレートでプロペラの推力を受ける構造なのですが、これには電動機仕様でのモーターマウントの改造が必要となります。
もっとも、構造上はこちらの方がはるかに合理的なのですが、できれば10クラスのエンジン機のエンジンマウントをそのまま流用して電動化できればと思い、不細工ながら自作ユニットを作ってみました。



製作のネックは、スパーギヤのハブでしたが、素人の単品製作レベルならば20ミリのアルミ丸棒からスパーギヤにしっくりはまるボスを現物合わせて作り、適当にフランジの厚みを決めて固定のイモネジのタップの代を取って突っ切りでベアリングのインナーに当たる段を作って落とします。
今回シャフトは5ミリで作りました。ハブの穴は5ミリのリーマーを通し実用上の問題は無い精度は出たようです。
スパー固定用のネジ穴は、スパーを仮止めし現物合わせで位置決め。
プレートは2ミリのアルミ板です。
今回内径5ミリのフランジ付きベアリングが手に入らず(作った後に入手できましたが)通常の京商の電動カー用ベアリングをテーパー穴に圧入し瞬間で固定してあります。そのため、不細工なスラストベアリング受けが必要となりました。
ハブも現物合わせ。こちらは4ミリのイモネジで固定。

この構造ですと、推力は後ろ側(モーターが付く側)のプレートで受ける事になります。前側はシャフトの保持だけ。
この後ろ側のプレートにアルミアングルを加工したマウントを付け、これを機体のマウントに取り付けます。
大径強ピッチペラ使用という事で、サイドスラストを気持ち増してやりました。

このマウントの取り付け面を出力軸のセンターを合わせれば、10クラスのエンジンマウントにそのまま付くはずです。
これは次作の課題。

センターのシャフトは、30クラスヘリ用でどこでも入手可能なスピンドルシャフト(5ミリ)スパーギヤもピニオンも、電動カーを扱うお店でいくらでも入手できますので、破損には強い構造ではあります。

EPコンセプトで使い古したヨコモの13ターンモーター、減速比は100:30(暫定)これでヨシオカの10*6.7ペラを7セルで回すと全開で30A程度流れます。
EPコンセプトのホバリング時の消費電流がこのモーターで25〜28Aですのでちょっと負荷が多いのかなと思っていましたが、永岩さんのHPでのデータで40A近く流す(02Hで)使い方もあり、テストフライトではコミュテーターがぴかぴかになって来ました。
もう少し負荷をかけても良いような気がしますが、機体とのマッチングの問題もあります。

軽量化はほとんど考えていない構造ですが、この機体では何もしないで重心位置は合いました。
純正ユニットと比べモーターの重量差が相殺したものだと思います。



機体の製作について

説明書通りに作る・・はずですが、リンケージロッドはキット付属のものではなく、普通にバルサの丸棒とロッドアジャスターを使う方法に変えました。
主翼のかんざしは、接着前に一度仮組をした方が良いでしょう。(実感がこもってます)

冷却穴は、バッテリー室の蓋の後ろ側4カ所しか開けていません。冬場ですので問題はありませんでした。

なぜか説明書の通りに、バッテリーの前後の位置決めをするマジックテープを貼ると蓋が閉まらなくなりました。
マウントの胴枠が微妙にずれていた影響なのですが、マジックテープでの位置決めを止め、蓋の裏へバルサの丸棒をストッパーとして貼り付けて対応しました。ゼリー状瞬間ですので、墜落時にはストッパーが剥がれ落ちるはずです。

脚は多少の角度の修正が必要でした。脚カバー?は瞬間で仮止めの後シリコン系接着剤で固定とありますが、私は黄色のナイロンストラップで締めて固定しました。当初バルサ片で固定具を作っておいたのですが、衝撃のかかる部分ですのでこちらの方が強く簡単です。(中国製の4サイクル26用カブでも同じ事をしました)

表題の画像にあるように、前面のウインドゥは翼に食い込む形の方が「カブらしい」ので黒のシールで再現。画像のは間違いで翼の根元は真っ直ぐではなくアールが付いています。
せっかくですので、ダミーエンジンを紙か何かでそれらしく作ってやるともっと良いかもしれません。

後は普通に組めます。私の機体では水平尾翼の取り付けにちょっと修正が必要だった程度です。

翼の支柱は胴体側だけはユニバーサルリンクに交換した方が翼の取り付け取り外しが楽かもしれません。

実際にやったわけではないのですが、上半角を0度にした方がロールやラダー併用の穏やかな旋回が楽になるかもしれません。
ちょっときつめの上半角ですので、旋回でラダーを併用するとラダーによるバンクが更に加わり、実感のあるバンクのためには旋回中にエルロンで逆にバンクを小さくする妙な裏技?が必要になったりします。


フライト
完成した日の午後は風が強く、翌日に持ち越し。いつもは休みが違い飛行場で一緒になる事はない知り合いの方に混ぜてもらいました。

舵角はラダー一杯、エレベーター見た目かなり多め、エルロン多め・・です。
失速特性が思いっきり穏やかですのでエレベーターも問題ありませんでした。

モーターテストで推力に不足は全くない事は分かっていたのですが、やはり緊張するものです。
長めの胴体はグランドループを起こすでもなく、ゆっくりとパワーを入れてやるとおもむろに走りはじめ、全開で一気に上がって行きました。トリムはほとんど修正は要りませんでした。精度も良いようです。

1450グラムと軽量な機体ではないのですが、おとなしめの電動機固有の重さはありません。全開でややペラの音が出る程度。
垂直上昇でももっさりした飛び方の割には登ってくれます。失速特性は相当に穏やか。
抵抗が大きいせいかダイブさせても機速は極端に延びず、ロールはかなりゆっくりしたものです。スナップロールでもバレルロールに近いテンポで回ります。長い翼の影響でしょう。
スピンは回り始めればエレベーターフルアップでくるくるとゆっくり降りてきます。
フラットボトムですので、背面ではかなりの頭上げが必要です。上昇力はあるのですが抜けの1/2ロールはゆっくり。
ループは連続4回が楽勝でした。
アクロ機ではないので・・・ 機体の性格としては良いと思います。

ギヤダウンの電動機固有のエアブレーキも良く効き、着陸進入も小技が使えます。
ローパスや着陸はかなり実感?があり、ダミーエンジンが欲しくなります。
カブに多い様な気がするタッチダウン時のつんのめりはありませんでした。

約5分のフライトで電池残量が800mah おとなしく飛ばせば2000mahバッテリーで8分は可能です。
11インチのペラを使えばもっと静止推力が稼げるのですが、着陸時に接触のリスクを考えると、10インチで良いのかもしれません。
2パック目で30クラスのエンジン機が手こずるほどの風になりましたが、鈍くさい割りに風にあおられるでもなく、風に押さえつけられるような状況でもパワーで対応できました。

ギヤダウンユニットのフローティングマウントを考えていたのですが、直付けでもかなり静粛でした。



セットによっては、翼の捻れているものもあったり、ステッカーの粘着面がステッカー側に良く着いておらず、台紙側にぺらぺらと残ってしまったり、多少問題はあるのですが、機体そのものはかなり良くできています。
カウリングがもう少し幅が細く、ウインドゥの面積がもう少し大きければもっと雰囲気は出ると思いますが、穏やかにカブのフライトを楽しむにはなかなか楽しい機体のようです。

機体サイズの割りに、非常に実感のある着陸姿勢がけっこう楽しめます。
準対称翼でクリップドウイングカブがあれば軽アクロも楽しそうですね。

風にも強く、神経質な扱いも要らず、そこそこのフライトタイム。けっこうお気に入り。

2001/12/30


追記
バッテリーを2パック充電し、いろいろな場所でフライトを楽しんでいます。
13ターンモーターの割りには、コミュテーターの荒れもほとんどなく(ブラシの摩滅はします)安定した回転を維持しています。

飛行時間は実測でおとなしく飛ばす(ループなどをあまりしない、急加速をしない)事で10分近く延びます。最後の着陸誘導の残量の余裕を考えると7分前後で着陸に入った方が無難でしょう。穏やかな風であれば40%出力でゆったりと飛んでくれます。
わずかなギヤ音とペラの音が微妙に反響してかすかなスケールサウンドを奏でます。

スラストラインは、キット標準よりもう少しダウンを付けてやった方が癖が減ると思いますが、出力アップで上昇、ダウンで降下という基本を再現するなら、標準でもかまいません。

わずかな滑走から急上昇、延々と繰り返すループ(現在最高7回)といった余裕は相当にありますが、意識的にゆっくりと最小限のパワーで飛ばし、バンク角を抑えラダー併用でゆったりした旋回を楽しむのも良いものです。

これだけ飛べば水上機も不可能ではないかも。

2002/01/18

笠岡の農道飛行場で、全日空のRCクラブの方に誘われ(黒川さんありがとうございました)実感あふれる巨大カブの群に混ぜてもらい、舗装の滑走路でフライトを体験しました。
ちゃんとしたスケールのカブと並べると、上半角が付いている、窓の形が変、カウルの形と胴体のバランスも違う・・・などあらを探せばきりはないのですが、一人前にカブです。同行のエクストラ300(70サーパス)がエンジン不調で難儀しても、電動機は完全にコントロールできます。滑走路手前からラインに従いゆっくり滑走路へ入り、風上に向け安全確認の後に、おもむろに加速、尾輪を上げた・・・と思う間にもう上がってしまいました。もったいない・・・・。
普段なら少しでも早く上げようとするのですが、50%程度のパワーでゆっくり加速し、浮こうとする機体をなだめ穏やかな上昇。
着陸もしっかり速度を落とし主輪だけで接地、ダウンを使ってでも尾輪は最後まで降ろさない・・・ などととことんスケールフライトごっっこが楽しめます。
極低回転までコントロールできる電動機のメリットです。

実はお気に入りの1機だったりします。
2002/05/05


体力測定
モーター載せ替えの機会に、12ターンモーターでの体力測定です。
モーター:ヨコモ13ターン(スモールコミュ)
バッテリー:2000mah7セル
プロペラ:10*6.7(ヨシオカ)
減速比: 100:30 (3.3)
出力100%時 25-24A 6000-5500rpm (バッテリーが完調なら30A 7500rpm以上いくでしょう)

という結果でした。バッテリーが完調では無かったため、実際は30A近く行くケースもあります。
全開ではちょっと負荷が大きい設定の様でした。実際のフライトでは離陸時でも全開にすることは無く、ほぼ30-60%出力。
延々とループを繰り返す時の上昇時だけ全開という使い方。
抑えて飛ばせば10分近くランタイムはありましたが、モーターの負荷はけっこうあったようです。

モーター換装

レーナーのBASICシリーズ3100kvモデルに載せ替えました。
コントローラーはJETIの40Aクラスサンサーレスブラシレス用BEC付き。シュルツほどの性能はないと思いますが、割と手頃ですし電源スイッチが付属しています。

3100kvとして8.4vで6000回転をめどに80%程度の効率として(おおまかですが・・)減速比は3.3が目安と計算上はなります。
たまたまですが、13ターンモーターと同じ数値になりました。(実はそれだけ13ターン時のセットがきつかったという事になります)(反省)
ピニオンの選択幅は64ピッチですのでかなり自由になるのですが、100:30のセットで実験します。

モーター:LMT BASIC3100
ESC: JETI JES-40-3P
バッテリー:2000mah 7セル
プロペラ:10*6.7(ヨシオカ)
減速比: 100:30 (3.3)
出力100%時 20-19A 7400rpm

意外にも強力な引きでした。実質の電圧は8.4v以上だとは思うのですが、10*6.7を7セルで7400まで回しきります。26サーパスにやや劣るか劣らないかのレベル。
初期の目的である、メンテナンスフリーかつ省電力仕様という目的は達成できそうです。
モーターに対しては「ゆるゆる」の設定とは思いますが、省エネ優先です。詰めていくと効率は一般のブラシレスモーターより劣る面も出てくるのかもしれません。
この機体ならばもう1段階kv値の低い2400でも良いのかもしれません。(20分フライトも不可能ではないかも)

高負荷で使うには不利な部分もあるのかもしれませんが、540クラスのモーターと載せ替えて(取り付けピッチは一緒)電流値が下がりメンテナンスから開放されるというメリットは、普通に飛ばす場合にはかなり有効かもしれません。
最大40Aというのがメーカー公称値ですので、発熱面でもそれほどの無理はないと思われます。
2002/05/05

換装後のテスト
翌日の午後からフライトテストに行きました。
JETIのESC、起動はスティック最スローで電源スイッチを入れ、ビープ音2回を確認するだけです。シュルツの様に毎回ブレーキ解除などの設定をしなくていいのは使いやすいと言えるかもしれません。
テストでは非常に強力な引きをしていたのですが、いつもと同じような滑走の後離陸、思ったほど引いていません。引いてないとはいえこれでもカブにはオーバーパワーなのですが、13ターンモーターを使っていた時の強烈な引きはありません。ブラシ音がしない事も含め無音に近いフライト。
比較データでの13ターンの回転数は、バッテリーが不調だったのかもしれません。
後から離陸したエンジン機が降りた後で着陸、パワーダウンの気配は皆無。
着陸後、モーターは全く熱が無く、バッテリーがやや発熱程度。 完全にゆるゆる設定でした。

13ターンでのデータが、きつすぎたのではなく、上空でもっと回転が上がっていたためと思われます。

帰宅後ピニオンを38枚に交換し測定してみました。
ピニオン以外は同一条件で
出力100%時 28A 8400rpm
胴体だけなら垂直上昇できる推力がありました。これでおそらく13ターン時と同じ飛行時間で更にパワフルな飛行ができると思いますが、もう少し小さめのピニオン(35枚程度)にしてやる方が相性が良いかもしれません。

飛行機でブラシレスを使う場合は、ヘリに比べほんとに冷却は楽です。
このパワーユニットで15〜20クラスのスポーツスタント機を飛ばすとかなり面白そうではあります。
2002/05/06

フライトテスト続編
仕事の合間をぬって38枚ピニオンでのテストをしました。
引きは滑走開始から明らかに実感できるほど違います。13ターン搭載時よりさらに強い引きがあり、水平飛行の全速では頭を抑える必要があります。
エンジン機並の大きな径のループ、45度以上の角度で延々と上昇する力。水平維持は50%出力で十分です。
この状態で時々くるくるしながら約8分のフライト。モーターは指先の温度より気持ち暖かい程度。飛行機は冷却有利ですね。
バッテリーはそこそこ熱くなっています。ちょっとこの機体にはオーバーパワーでしょう。
充電中に35枚ピニオンに交換し、再度テスト。
これでもまだ13ターン以上に引いています。ファンフライの離陸に近い感じです。38枚の様な豪快な上昇はありませんが、ループを続けるには十分なパワーがあり、トルクで機首を振られないという意味ではこちらの方が扱いやすい感じです。
急上昇、スパイラル降下、ループ、ロール、ゆったりとした場周飛行を混ぜながら、8分経過時点でまだループは楽に可能でした。
結局10分経過後に着陸進入中にオートカットが働きました。無駄な電力を抑えれば10分クリアは楽勝でしょう。モーターの発熱は無いに等しい状態。
ちなみにバッテリーはEPコンセプトで使い古した2000mah8.4Vを使っています。

アンプの出力に余裕があれば、5分間目一杯元気に飛び回るスポーツ機というのも簡単に可能かもしれません。
このカブを上半角を0度にした物を作るとけっこう面白いかもしれません。
2002/05/11



15クラスのエンジン版は熊本のKANAMEさんのHPに紹介があります。
サブマフラーで電動より静か、しかも重量が300グラム以上軽い・・・
KANAMEさんのページの京商パイパーカブ10レポート


2002/05/22 別府にて中村さん(KANAMEさん)のサブマフラー付きカブと編隊飛行実現
写真提供 黒川究氏(大阪府)

編隊飛行 「言うは易し行うは難し」でした
ペラの音もけっこうありますので、中速だと中村さんの消音GPカブと音は変わりません。
でも面白い経験でした。ありがとうございます。






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